アウトソーシングのメリット・デメリットと導入で大切な3つのポイント

アウトソーシング

業務の加速的な推進を手助けする「アウトソーシング」。

経営戦略の一つとして取り入れられないかというオーダーが降りてきて、改めてアウトソーシングを調べる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

労働人口の減少により新たな企業リソースが求められるようになったことを背景に再注目されているアウトソーシングについてご紹介します。アウトソーシングは単に業務の効率化だけではなく、品質の向上や企業競争力のアップにもつながります。

また、なかなか必要な人材が採用できないとお悩みの方も一度検討する機会とされてみてはいかがでしょうか。改めてアウトソーシングのメリット・デメリットを理解し、検討に向けて社内でどのように情報を整理しないといけないのか確認してみましょう。

目次


1. アウトソーシングとは?
2. アウトソーシングが求められる背景・企業の目的
3. BPOサービスとの違い
4. シェアードサービスとの違い
5. アウトソーシング業務の一覧
6. アウトソーシングのメリット
7. アウトソーシングのデメリット
8. 導入するまでの3つのステップ
9. まとめ

1.アウトソーシングとは?

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アウトソーシングとは、外部委託とも呼ばれ、企業が社内業務を外部の業者に委託することを指します。

これまでは、経理や総務で行われる事務処理や配送業務といった外部に委託しやすい業務を任せることが多く行われていましたが、 近年では情報システムの管理や法務といった高度な専門知識を必要とする業務も委託されるようになり、 より専門性の高い BPO システムという委託方法も取られるようになってきました。

終身雇用制を主としてきた日本企業にとってはそれまでとは異なる経営方法ですが、 新たな人材の雇用や設備投資の必要がないことからコストダウンの一環として 経営戦略の中で用いられることが多くなっています。

2.アウトソーシングが求められる背景・企業の目的

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IT専門の調査会社IDC Japanの報告によると、2017年国内の BPO サービス市場は前年に比べ4.7%増の7,346億円となっています。また、その後の成長率についても2017年から2022年の年平均成長率は3.6%と現実な成長が予想され、2022年には8,769億円の市場規模になると予想されています。 (※1)https://japan.zdnet.com/article/35117248/

アウトソーシングの需要が高まっている背景としては、 収益に占める固定費の増大を含めコストが高騰するなか、企業経営者が将来の収益の確保のため、新たな事業を開始するなど、多角経営を進めていることが関係しています。

同時に採算の取れない部門の閉鎖や不要な正社員のリストラなど企業リソースの選択と集中を行っており、大幅な投資が必要のないアウトソーシングは不必要なコストを抑える経営方針に合っていると言えるでしょう。

また、少子化における労働人口の減少や、国主導する働き方改革による長時間労働の是正などから今までの企業リソースが変化してきていることもアウトソーシングの普及に拍車をかけています。

3.BPOサービスとの違い

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アウトソーシングサービスと同じような意味で使われることも多いのが「BPO サービス」です。これはビジネスプロセスアウトソーシングの略で、アウトソーシングサービスの一種です。

BPO サービスでは、業務のプロセス全体をアウトソーシングします。業務全体を請け負うことからサービスの規模も大きくなり、より高度なノウハウと経験、場合によっては企業の規模も問われるのが特徴です。アウトソーシングの新しい一形態と言えるでしょう。

また、業務依頼期間にも違いがあります。比較的短期間で単発の業務が多いアウトソーシングサービスに対して、中・長期間に渡ることが多いのがBPOサービスの特徴です。

これは専門性が高く、特定の業務プロセスをまとめて任せるというBPOサービスの特殊性のよるところが大きいためです。なかには、人事部や法務部を自社内に設置せず部署単位で外部企業へ委託する例も見られます。

4.シェアードサービスとの違い

営業や接客など企業の売上に直接関係する業務に対して、総務や経理、人事など、バックヤードで企業の業務を支える業務を間接業務と言います。

企業を運営していく際には業務が円滑に進むためにもこうした間接業務の存在は欠かせません。しかし業務を行う拠点が増えに伴い、間接業務のスタッフも必要になります。

こうした間接業務を行う部門を統合し サービスをシェア(共有)することで経営のスリム化を目指すのはがシェアードサービスです。

対象となる業務は、総務や人事部門、財務や経理部門、営業事務部門も含まれるほか、顧客対応を行うヘルプデスクやシステム管理を行うことも「シェアードサービス」で提供が可能です。

シェアードサービスがアウトソーシングサービスと違う点はいくつもの事業所にある同一の機能(人事部や総務部など)を1か所に集約するサービスということです。なかには、独立した法人を設立しサービスの提供を行う企業も存在します。

シェアードサービスは企業グループ内で重複しているシステムを統合・削減することで 経営資源の選択と集中を行う一つの方法と言えます。

5.アウトソーシング業務の一覧

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以前はアウトソーシング業務といえば、事務や受付などアルバイトやパートでも行うことができるものがほとんどでした。しかし、近年では BPO サービスの登場などもあり、より高度な専門業務を外部に委託することも増えています。 主なものは以下になります。

・人事・法務・会計・情報システム関連など高度な専門業務
・総務や経理を始めとした事務や受付業務
・店舗業務(運営やスタッフ業務も含む)
・物流関係(資材の調達から在庫管理、梱包・出荷、配送関係も含む)
・システム運用などIT関連業務

6.アウトソーシングのメリット

アウトソーシングを導入するメリットは3つあります。

1つは 「人件費を抑制すること」 2つ目は「業務の効率化と品質向上」3つ目は「企業競争力の向上」です。

アウトソーシングは業務の全部または一部を専門の業者に委託することで、 余剰した人材をカットし人件費を抑制することができるだけと思われがちですが、それだけではありません。

人件費の流動化や人材の他部署への配置により限られた人材を有効に利用できるというところに導入のメリットがあります。ほかにも、外部から専門性に長けた人材の協力を得ることができるため、新たに人材育成をする経費が必要なくなるという利点もあります。

また専門性の高いスタッフを導入することは、より業務の効率化と品質の向上を図る上でも大きなプラスとなります。社内では人材を自社独自のサービスや他社では提供できない製品などのコアな業務と経営資源の集中を行うことができます。これが業界における企業競争力の向上につながります。結果としてアウトソーシングは企業内の組織やシステムの再構築にも適した経営戦略と言えるでしょう。

また、イベントや周年行事などイレギュラーなもの、入社式など毎年開催されていても人的、物的資産を投入し続けることが難しいものも含まれます。そんな時には、企業イベントの専門会社に委託を検討することも一考です。

7.アウトソーシングのデメリット

企業経営の効率化に役立つアウトソーシングですが、少なからずデメリットも存在します。

主なものは3つ、「自社へのノウハウの蓄積が困難」「社内統治の弱体化の問題」「情報漏えいリスクの増加」があります。以下に説明します。

●自社へのノウハウの蓄積が困難

アウトソーシングは業務を社外企業に委託することで、 人材面や費用面のコストを削減できるのが利点です。専門業者に委託することで一定レベル以上の品質を保つこともできます。その反面、社内の人材に実務レベルのノウハウの蓄積が困難になってしまうというデメリットが存在します。

社内に業務の蓄積を行うためにも委託先企業とのミーティングを頻繁に行うことや、詳細な報告を受けることが必要になってくるでしょう。

●社内統治の弱体化の問題

外部の会社に仕事を委託するということは同時に、業務の進行状況をリアルタイムで把握しづらいというデメリットも存在します。
また、業務のどのような部分が向上しており、仕事の効率化の為に計測すべき業務上指標となるデータが把握しづらくなるという問題もあります。

現場との認識のずれが発生する可能性もあり、クライアントや一般顧客からの問い合わせやクレームに対して対応が後手に回る可能性もあります。
そういった事態を避けるためにも委託先企業との連携を密にすることが重要です。場合によっては ITツールやメールなどの通信手段を活用して委託先企業とのコミュニケーションを工夫する必要があるでしょう。

●情報漏えいリスクの増加

メールやチャットを始めとする通信システムの発達により、情報の素早い伝達が可能になりました。しかしそれは同時に重要な情報の流出の可能性がより高くなったことも意味します。

アウトソーシングの業務依頼範囲は社内事務や受付といった業務だけでなく、個人情報を扱うことも多いカスタマーサポートや、人事関連の業務まで広がっています 。
外部の委託企業が、個人情報など重要なデータを扱う機会も増えることになるので、当然情報漏えいのリスクも増加することになります 。

また、委託先のスタッフによる故意の漏えいや外部からのハッカー攻撃などのセキュリティに関する課題もあるために、情報漏えいのリスクはより高くなっていると言えるでしょう。

アウトソーシングを行う業者の選定に際しては、情報管理の面からも慎重な選定を行う必要があります。


8.導入するまでの3つのステップ

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社内にアウトソーシングを導入するには、3つのステップがあります。

ステップ1 業務の現状分析と把握

アウトソーシングを行う際にまず行いたいのが業務の現状分析と把握です。
外部の企業に業務を任せることになるため、どれだけの業務や工程があり、それぞれにどの程度の人数が関わっているかなど、自社の業務とマンパワーについて理解することが必要です。

その上で外部に依頼できること、依頼すべきことを洗いだし、まとめることが重要です。その際、誰にでもわかるように可視化することがポイントです。
また、顧客のプライバシーや社外秘事項に抵触しないか確認することは必須です。


ステップ2  導入後の運用体制の想定

前述のように、アウトソーシングを実行する際には、「自社へのノウハウの蓄積が困難」「社内統治の弱体化の問題」「情報漏えいリスクの増加」といデメリットが発生する可能性があります。

それを防止するには、運用体制の想定が欠かせません。基幹業務を残したまま運用するわけですから、任せる業務と外注する業務の連携を考えることは必要です。同時に大切なのが外注先との連携やコミュニケーションです。

顧客からの感謝の言葉など業務の成功例からクレームや納品遅延などの失敗例まで、風通しよく報告があがり情報の共有や失敗事例への対策ができることが大切です。ITツールなども駆使しながらスピーディーな仕組みを構築しましょう。

ステップ3  コストの算出と外注先の選定

業務を外注に任せる準備が出来たら、次はコストの算出と外注先の選定です。アウトソーシング後の方がコストがかかるようになってしまった、という状況は避けるべきです。アウトソーシングの利点はコストの削減であるので、目標とする削減額も設定しておくのもおすすめです。

その上で、外注業者が十分な専門性や実績を備えているかを十分にヒアリングした上で、見積もりやコンペを行いましょう。サービスの内容も考慮しながら、目標としているコスト削減額に見合う業者(パートナー)を選定しましょう。

9.まとめ

社内業務を外注先を利用して行うアウトソーシング。うまく活用することで、人件費など固定費の削減になるだけでなく、社内の資産の有効活用や行うべき業務に集中することで飛躍的な業績アップにつなげることも可能です。

今後、労働人口の減少や企業のグローバル化が進む中で、希望する人材が確保できない、グローバルスタンダードに業務改善が追い付かない、といった状況が訪れるかもしれません。

アウトソーシング先を上手に活用することで、コストをかけずにスピーディーな業務改善を行うことも可能です。

アウトソーシングは事務や受付などから、情報管理といった高度なことまでさまざまな業務の外注化が可能です。まずは、簡単な業務の外注から始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

※1 ZDNetJapan 国内BPOサービス市場、人事系が伸長--マイナンバー関連案件など受け
https://japan.zdnet.com/article/35117248/