どちらを選ぶ?アウトソーシング・インソーシングの特徴まとめ

アウトソーシング

労働生産性の向上や業務効率化や人件費、施設維持費の高騰により、業務の一部、あるいは広範囲を外部企業に委託するアウトソーシングが一般的に普及しています。

一方で、海外では業務を内製で進めるインソーシングへの回帰の動向があります。

本記事では、インソーシングやアウトソーシングについて解説して、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

目次

1.インソーシングとは

2.アウトソーシングが一般化した経緯

3.アメリカでみる企業のインソーシング化

4.インソーシングとアウトソーシングのメリット・デメリット

5.まとめ






1.インソーシングとは

インソーングとはアウトソーシングと対比される言葉で、アウトソーシングにより外部に委託していた業務を再び社内に取り戻し、内製で業務を進めることをいいます。

アメリカ企業は、1990年代以降から労働コストの安い外国、特に中国でアウトソーシングを拡大してきました。IT・コミュニケーション技術の進歩や貿易自由化、中国改革開放のトレンドもあって、アウトソーシングは急拡大し、その結果、米国での製造業の雇用が大幅に減少しました。

しかし、近年海外にシフトしていた生産拠点やIT部門を米国に戻すインソーシングの気運が高まっています。アウトソーシングしても思ったほどコスト削減が進まず、逆に開発や運用から得られるスキルやノウハウを経営やIT戦略にフィードバックできないデメリットが目立ち始めたのです。






2.アウトソーシングが一般化した経緯

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それではアウトソーシングを積極的に取り入れてきた経済の社会背景をみていきたいと思います。

アウトソーシングを発展させたアメリカ経済

黄金の60年代を経てアメリカ経済は70年代に大きな転機を迎えます。高度経済成長期を迎えた日本や旧西ドイツといった産業国の猛追を受け、競争力の衰えがあちこちで目立ち始めました。

量やスケールでそれまで圧倒的に優れていたアメリカ企業が直面したのは、効率的な企業運営を誇り、品質重視で利益を増進する「エクセレント・カンパニー」と呼ばれる企業群でした。

思い切った改革を実行できず、肥大・硬直化していた米国企業は、組織のスリム化に焦点をあて、コスト削減のためのリストラ、事業や部門などのダウンサイジング、業務プロセスなどのリエンジニアリングといった経営手法を選択するしかありませんでした。「アウトソーシング」もその中の重要な選択肢の一つでした。

アウトソーシングは、専門的なIT部門から始まり、固定費の変動費化や設備投資負担の軽減などを優先させて自社のコア部門に集中できるような態勢を作りました。


セブンイレブンが火付け役に―日本上陸―

コダックが情報処理部門をIBMに委託したのを始め、日本でも1989年、セブン-イレブン・ジャパンが野村総合研究所に情報システム部門をアウトソーシングしたことが大きな話題になりました。

80年代は人材派遣業が躍進し、90年代にかけて特に総務・人事、経理といった間接部門でのアウトソーシング導入の効果が実証されます。海外へのアウトソーシングが目立ち始めるのもこの頃で、国内での労働市場のひっ迫を受け、労働力を海外に求める動きが加速し、インド、マレーシア、フィリピンなどが特にIT部門の受け皿の主流となっていきます。

製造業では、製造部門の全てをアウトソーシングするファブレス企業が急増したのもこの頃で、賃金の安い中国や中南米のメキシコなどに競って進出。アメリカでは、アウトソーシングは、企業の成長に必須なコアビジネスの強化を図り、スリム化も可能にする経営手段として、もてはやされるようになりました。






3.アメリカでみる企業のインソーシング化

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アメリカでは、2000年代に入ってから逆に、海外にシフトした生産拠点やIT部門を米国に戻すインソーシングが目立つようになります。

中国の人件費が高騰するなど海外の労働コストが一段と上昇したのが原因で、米国のエネルギーコストの低下や労働生産性の向上など国内の経済的要因も後押ししました。



世界大手企業のインソーシング化加速

世界最大の複合企業GEやアップル、マイクロソフト、General Motors(GM)などが相次いでインソーシングに踏み切り、話題になりましたが、一部の企業にとどまるとの指摘もなされました。

多くのインソーシングが、先進技術の導入による高付加価値部門で行われたためで、スキルの低い一般労働者まで恩恵が及ばず、製造業における大幅な雇用増加にはつながりにくいという訳です。

米国では、新製品の開発の原動力であるイノベーションを重要視します。技術革新は、市場のスピードに追随することや、コストを削減しながら収益を拡大することの多くの部分を支えています。

イノベーションの力を引き出すためにアウトソーシングしてきた企業が、今度はそのイノベーションの力をどれだけ取り戻すことができるかを選択したのですが、その波もまた変化していくのかもしれません。






4.インソーシングとアウトソーシングのメリット・デメリット

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ここで改めてインソーシングとアウトソーシングのメリットとデメリットを押さえておきましょう。

【アウトソーシング】


アウトソーシングのメリットとして2つのポイントが挙げられます。

1. 高い専門性のある外部資産を活用できる

2. 自社のマンパワーが乏しい領域において人件費を固定化することなく業務に取り組める

以上のポイントを生かして企業は自社の経営資源を有効活用でき、よりスリムになった組織で本業やマーケティングなどの高度な業務、コア業務を強化できます。

一方、デメリットとして挙げられるのは、次の3つです。


1. 社外の人材であるため、その専門性が必ずしも自社の戦略や企業文化の理解に繋がらない

2. 業務が社外に出ることで目が行き届かず、ガバナンスの弱体化を招く

3. 3.委託する業務に必要なノウハウや知識は自社に蓄積できない


さらに副次的なメリットですが、アウトソーシングが活用されるようになると、自社で必ず行うべき業務の見直しにも繋がります。つまり、アウトソーシングとは逆のインソーシングのメリットが透けて見えることになります。

【インソーシング】


インソーシングのメリットして挙げられるのは3つあります。

1. 社内に知見が蓄積される

2. 計画立案から業務プロセスの構築、実際の業務に到るまで首尾一貫した工程を管理できる。

3. 企業内の意思の疎通がスムーズになる

外注から内製に置き換えることで、「社外の専門家に丸投げしたら終わり」ではなく、当事者意識が芽生えることで、自社業務への理解と熱意が高まりモラルの向上といった効果が期待できます。

逆にインソーシングのデメリットとして挙げられるもの3つは以下になります。

1. 人員を抱えることによる人件費の固定化

2. 社内の限られたリソースで包括的な業務もこなすための人材の育成、採用の負担

3. 特定の人材に社内の業務ノウハウが集中し離職時のリスクが高まる


さらに「総額人件費」の観点から、両者のメリットとデメリットをみる必要があります。これは人件費の削減目的でアウトソーシングを見た場合、受託費用の高騰や新たな機器設備費負担などで、必ずしもコスト削減にならないことを念頭に置かなければならないからです。

また、マンパワーが少ない中小企業などではマルチタスクで業務をこなす人材があり場合があります。コア業務がおろそかになってインソーシングのデメリットと受け取られます。マルチタスクは余計な「時間コスト」を生んでしまうことがよくあり、総額人件費の観点からは非効率的です。こうしたポイントを押さえてアウトソーシングとインソーシングをどう選択すべきかが課題となってきます。






5.まとめ

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行き過ぎたアウトソーシングの反省から生まれたインソーシングの波。製造業が米国に回帰することで雇用拡大、賃金上昇、長期的な経済成長を促す期待が強まっています。トランプ政権のアメリカファーストのかけ声も期待値をあげていますが、果たして思惑通りになるのかどうか注目する必要がありそうです。