【業務委託と派遣の違い】知れば仕事がもっと楽になる。

アウトソーシング

「この作業は、時間ばかりとられるけど優先順位はそんなに高くないんだよな。」

「社員にはもっと集中して欲しい仕事もあるし、社外にお願いしてみようかな。」

業務効率を考えるお立場の方でしたら、上記のような考えが頭をよぎった時があるのではないでしょうか?この場合に検討する外部リソースは2つです。「派遣」か「業務委託」の選択になります。

ビジネス環境の変化や少子高齢化によるマンパワー不足などに伴い、社外リソースの活用に取り組む企業が年々増加しつつあります。

この記事では、社外リソース活用の代表的な2つの形態である「業務委託」と「人材派遣」について、相違点やそれぞれのメリット・デメリット、使い分けのポイントなどを解説します。

目次

1.社外リソース活用の2形態
2.人材派遣と業務委託の違い
3.人材派遣と業務委託の費用感
4.導入までの準備期間
5.人材派遣と業務委託のメリット・デメリット
5-1.人材派遣・業務委託のメリット
5-2.人材派遣・業務委託のデメリット
6.人材派遣と業務委託の使い分け
6-1.人材派遣に向くケース
6-2.業務委託に向くケース
7.人材派遣 or 業務委託―選択基準は?
8.まとめ






1.社外リソース活用の2形態


社外リソース活用の手段には、大きく分けて2つの形態があります。一つは人材派遣、そしてもう一つが業務委託です。(※1)

※1:厳密にはこの他に「準委任契約」という形態がありますが、今回の記事では割愛します。

人材派遣は、特定のスキルを持つ人材を人材派遣会社などから派遣してもらう方法です。

派遣先企業(受け入れ側企業)は派遣元企業との間で労働者派遣契約を結び、人材派遣会社が雇用するスタッフを派遣先企業へ派遣してもらいます。

人材派遣を利用すると必要な時に必要なスキルを持つ人材をスピーディーに獲得できるため、従業員の病気療養や産休などによる穴埋め、繁忙期の労働力増強といった場合に重宝します。

一方、業務委託は「アウトソーシング」とも呼ばれる、業務の一部を社外の企業などに委託するというやり方です。請負先企業は請負元企業と業務委託契約を結び、契約に基づいて依頼された業務を遂行します。

業務委託は近年特に注目を集めている方法で、経理業務や人材の採用業務、労務管理などを始めとして、様々な分野領域で業務委託の利用が活発化しつつあります。






2. 人材派遣と業務委託の違い

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人材派遣と業務委託は、「社外のリソースを活用して業務を遂行する」という点で共通しているものの、前述の通り契約の形が本質的に異なります。

人材派遣は文字通り「人材」を提供するサービスであるのに対して、業務委託は「業務の遂行」を提供するものです。このため、たとえば同じようにスタッフが自社に常駐して作業を行う場合であっても、スタッフの扱い方には違いが生じます。

例えば、人材派遣会社からスタッフを派遣してもらった場合、スタッフの指揮管理は受け入れ側企業の社員が行います。勤怠管理などはもちろん、作業の進め方やスケジュールの指示なども受け入れ側企業が行うことになります。

これに対して業務委託の場合、委託元企業が委託先企業のスタッフを管理することはありません。契約時に定めた「成果」を提供してもらうことが目的であるため、業務遂行のプロセスやスタッフの勤怠状況などには基本的に関与しません。






3.人材派遣と業務委託の費用感

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では、人材派遣と業務委託ではどちらがより費用が高いのでしょうか?

業務の難易度や期間などによっても異なるため一概には言えませんが、仮に全く同じ業務を同じスキルを持ったスタッフで遂行する場合、業務委託の費用の方が人材派遣より高額になる傾向があります。

前述のとおり、人材派遣の場合はスタッフの指揮管理を受け入れ側企業の社員が行います。

これに対して業務委託では、業務委託先の企業が勤怠管理や作業指示、スケジュールの管理などを行います。このような管理コストが費用に含まれるため、一般には業務委託の方が割高になります。

ただし、人材派遣の場合はそうした管理業務を受け入れ側企業の社員が担当しているため、実際は区分しずらいコストがかかっています。その分を加味して考えると、実質的には業務委託の方が割安となる場合も多くあります。

なお、貨幣価値に差のある海外(オフショア)や、国内でも地代・人件費などの安い地域(ニアショア)に拠点を置いて業務を遂行することで、人材派遣よりも低いコストで業務委託できる場合もあります。また、特殊なスキルを持つ人材が多数必要となる場合などは、却って人材派遣のコストの方が高くつくこともあり得ます。

このように費用についてはケースバイケースで変わるため、その時必要な人材・パターンによって変動します。






4.導入までの準備期間

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依頼してからサービス提供開始までにかかる時間は、人材派遣と業務委託とでどのように違うのでしょう?

一概には言えませんが、通常の場合は業務委託の方が立ち上がりに時間がかかるといえます。

人材派遣は、必要なスキルを持つ人材が派遣元企業に所属していれば、極端な話、「明日からすぐ来て!」といった急な依頼にも対応してもらえます。

一方、業務委託の場合は業務の遂行を外部に委託するものであるため、契約に先駆けて業務内容に関して委託側と受諾側に認識合わせが必要となります。また、業務マニュアルなどを作成し、委託する業務の範囲を明確にした上で契約を締結します。

契約締結その後にスタッフを確保し、必要に応じて教育(トレーニング)を行うことになるため、依頼からサービスの開始までに1~2ヶ月程度の期間がかかります。






5.人材派遣と業務委託のメリット・デメリット

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このように、人材派遣と業務委託は一見よく似ているようでいても本質的な部分が大きく異なるサービスになるため、両者のメリット・デメリットを正しく理解した上で、自社のニーズに応じて適切に使い分けていく必要があるといえるでしょう。

それでは、人材派遣と業務委託のメリットとデメリットを見ていきましょう。






5-1.人材派遣・業務委託のメリット

人材派遣、最大のメリットは、人員を迅速に導入できる点です。

前述の通り、状況さえ許せば翌日からでもスタッフを派遣してもらうことが可能なため、急な欠員の穴埋めなどには非常に重宝します。

また、業務委託のように事前に業務内容の認識合わせなどを行う必要もないため、業務フローが明確化・可視化されていない複雑な仕事を任せたい場合に有効です。受け入れ側企業の社員がスタッフに対して直接指示・命令を与えることができるため、現場で臨機応変に対応ができるというメリットもあります。

一方、業務委託のメリットは、求める成果をほぼ確実に得られるという点にあるでしょう。

業務委託は「人材」ではなく「業務の遂行」という成果を提供するサービスであり、基本的には契約時に定義した成果と引き換えに支払いが発生するためです。

さらに、人材派遣のように委託元する企業側でスタッフの指揮管理を行う必要はないため、管理コストを大幅に削減することが可能です。また、プロの持つノウハウを活用できるという点も、業務委託のメリットの一つだと考えることができるでしょう。

もう一つ大きなメリットとして、業務の委託を通じて業務の見直しや改善に繋げられるという点を挙げることができます。

委託先企業に業務の遂行を依頼するためには、現在社内で行っている作業を「見える化」して業務フローなどを作成し、最終的にマニュアルのような形に落とし込む必要があります。この際に作業の見直しを行い、無駄な作業や非効率な作業などをふるい落とすことで、結果として業務プロセスを改善できる場合があります。






5-2.人材派遣・業務委託のデメリット

派遣会社のデメリットとして挙げられるのが、スタッフの管理コストです。

スタッフに作業の仕方を教えたり、作業中の質問に対応したりするのは、それなりに骨の折れる仕事です。派遣スタッフを受け入れたがために本来行うべき業務が滞ってしまったという話も、少なからず耳にします。

また、人材派遣はあくまでも人材(労働力)の提供を受けるものであるため、求める成果が本当に得られるのかどうかは未知数です。受け入れたスタッフのレベルによっては思うように成果が上がらない場合もあるでしょうし、スタッフの入れ替わりなどにより一時的にパフォーマンスが低下するリスクもあります。

業務委託のデメリットは、工程をまるごと外出しすることになるため、ノウハウが自社内に蓄積されにくいという点を挙げることができます。業務委託では、業務の遂行は委託先企業が行って、成果だけが提供されるため、スキルやノウハウは委託先企業に集積されてしまいます。

なお、トータルの費用だけを見ると業務委託の方がコスト高に見え、これが一見デメリットであるかのように語られる場合がありますが、前述の通り、業務委託の費用が高額なのはスタッフの管理工数分の費用が上乗せされるためです。

業務委託を利用することで自社の社員が管理業務の負担から開放され、本来打ち込むべき仕事に集中できるようになるメリットを考えると、この点は一概にデメリットであるとは言えません。






6.人材派遣と業務委託の使い分け

outsourcing-dispatch-business_(5).jpgこうした違いを踏まえた上で、人材派遣と業務委託をどのように使い分けていくべきかについて考えてみましょう。






6-1.人材派遣に向くケース


人材派遣を活用した方がよいと考えられるケースの一つとして、業務がマニュアル化し辛い場合や、業務を直接指示出したい場合、に向いているといえます。

人材派遣の場合はスタッフに対して直接指示を出す事ができるため、業務を熟知した社員が指導することで求める成果を得られます。業務内容が複雑である、あるいは時間の余裕がないなどの理由で業務の見える化が行えない場合に、効果が早く出る手っ取り早い解決策として人材派遣を活用するのはよい方法です。

また、数日~数週間程度の短期間だけ人手が必要である、といった場合も人材派遣を活用すべきでしょう。さらに、自社のビジネスの根幹に関わるコアな業務の遂行にも、業務委託より人材派遣の方が向いています。業務に関するノウハウを社外に出したくない、情報漏えいなどのトラブルを避けたいといった場面でも、社内で直接スタッフを管理監督できる人材派遣は活用しやすいといえるでしょう。






6-2.業務委託に向くケース

一方、業務委託に向くケースとしては、「業務内容をマニュアル化しやすい」場合を挙げることができるでしょう。業務内容が明確になっていて、委託先企業により鮮明に伝えることが可能であれば、業務委託を利用することで業務効率化などのメリットが大きくあります。

また、専門的な知識やスキル、ノウハウを必要とする業務も業務委託に向いています。
給与計算や健康保険などに関する業務、採用、顧客向けの問い合わせ窓口(カスタマーセンター)、配送といった業務に関する専門的業務に委託サービスが多く提供されています。






7. 人材派遣 or 業務委託―選択基準は?

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人材派遣と業務委託のどちらを利用すべきかで迷った場合の判断基準として、次の4つのポイントをおさえましょう。

1.期間


数日~数週間程度のスポットで人手が必要な場合は人材派遣が便利です。
逆に、数ヶ月~数年の長期に渡って利用したい場合は業務委託を検討する余地があります。


2.スタッフの管理

業務の遂行にあたって、スタッフに対して自社の社員から細かい指示を出したい場合は人材派遣がおすすめです。

「結果だけ出してくれればあとはお任せします」というスタンスで管理工数を削減したい場合は、業務委託が向いています。

3.業務は整理されているか?

依頼したい業務が整理され、マニュアル化可能なレベルにまでになっている場合は、比較的スムーズに業務委託を利用できます。

その時点で業務が整理されておらず、業務の見える化・マニュアル化に時間やコストを割く余裕がない場合は、人材派遣の活用を検討すると良いでしょう。

4.委託可能な業務か?

業務委託ではあらかじめマニュアルなどを作成し、対応する業務内容を明確にした上で契約を締結します。逆に言うと、契約時に設定した範囲以外の業務は原則として行わせることができません。

このため、作業の遂行にあたって重要な判断が必要な業務、あるいは企画立案を行うような業務は業務委託には向きません。また、自社のビジネスに関わるコアな業務、証券売買などのように資格が必要な業務も業務委託することはできません。

もう一つ、スタッフが自社の社内において1名体制で業務を遂行するような場合も、偽装請負となる可能性が高いため業務委託は利用できません。このような業務で社外リソースを必要とする場合は、人材派遣を利用することがおすすめです。






まとめ

以上、この記事では社外リソース活用の代表的な2つの形態である「人材派遣」と「業務委託」の違いを説明し、どのような場面でどちらの手段を選ぶべきかの判断ポイントについてお話しました。

グローバル化や消費者ニーズの多様化、商品ライフサイクルの短期化などにより、企業を取り巻くビジネス環境は年々厳しさを増しつつあります。こうした状況に柔軟に対応していく上で、社外リソース活用は強力な武器となるはずです。

本記事を参考に、派遣と業務委託の違いをよく理解した上で、自社のニーズに適した手段を選択していただければ幸いです。