業務を海外へアウトソーシング!注目のオフショアリングのメリット・デメリット

アウトソーシング

深刻な人手不足、優秀な人材の採用難、新興企業の台頭により、めまぐるしく変化するビジネス業界。その中で今、再注目をあつめている『オフショアリング』という言葉をご存知でしょうか。

社内業務を海外に移管をすることで、企業の人件費削減や業務効率化、さらにはそれにより企業のグローバル化を高める動きが強まっています。オフショアリングがもたらすメリットとデメリット、そしてその実態を深堀りします。

目次

1. もはや他人事ではない。人材不足による業務効率化が不可欠な世の中

2. アウトソーシングの有用性と特徴

3. 新台頭【オフショアリング】

4. オフショアリングのメリット・デメリット

5. 中国・インドがオフショアリング先に選ばれる理由

6. 日本におけるオフショアリング活用企業の実態

7. まとめ






1. もはや他人事ではない。人材不足による業務効率化が不可欠な世の中

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厚生労働省が発表した2018年5月の有効求人倍率は1.60倍と高水準を維持し、企業側の求人は求職者を上回り続けています。深刻な人手不足から、倒産を余儀なくされた企業数も過去最多を記録しました。

今や業種・業界問わず多くの企業が、限られたリソースで企業利益を上げる必要性に迫られ、業務改善や効率化への取り組みに尽力しています。その中で、より企業経営の肝となる部門に注力し、貴重な人手やコストを最大限有効に使うため、社内業務の一部を外部委託する「アウトソーシング」が非常に大きな役割を果たすようになりました。

近年ではインターネットの普及や通信コストの低下により、国境や業界の壁を超えて業務委託の幅が広がっています。外部委託を実施することで、社内業務をより専門性が高く、低いコストで行なうことができ、業務効率の改善においても高いパフォーマンスを発揮します。

ここからは、今後ますます注目を集める「アウトソーシング」、そして新たなキーワード「オフショアリング」について詳しく解説していきます。






2. アウトソーシングの有用性と特徴

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アウトソーシングとは「外部委託」を意味し、社内業務において必要なプロセスを外部の専門業者に委託することを指します。

とりわけ会計や税務など、専門性が高く定型的な分野において外部委託を採用する企業が多くみられます。


<アウトソーシング業務の例>

• 人材採用
• 会計・経理業務
• 労務管理
• 情報システムの運営
• WEBサイト制作

技術やノウハウのない企業でも、専門性の高い外部業者に社内業務の一部を委託することで、短期間かつ低コストで高い品質の業務を実現することができます。社内における人材育成や、人の採用にも時間や手間をかけずに済むため、経営資源の有効活用にもつながります。

通信網の発達によりさらに企業間の業務連携が取りやすくなり、現在では業務全般にわたりアウトソーシングが採用されるようになっています。

企業の貴重なリソースを有効活用し、サービスや効率、企業競争力の向上においても、社内業務のアウトソーシング化はますます加速していくことでしょう。






3. 新台頭「オフショアリング」

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アウトソーシングが着目されるなか、「オフショアリング」という言葉に再注目が集まっています。

オフショアリングとは、企業の業務を海外に移管することを意味します。
アウトソーシングが他企業への業務委託を意味することに対し、オフショアリングは移管先が海外であれば、業務を自社でおこなうか、他企業に委託するかの形態は問いません。オフショアリングということばはアメリカを発祥とし、語源は「Offshore(岸を離れる)」に由来しています。

これまでは製造業の領域を中心として、人件費や土地代のコスト削減のため工場の海外移転や現地人の採用といったオフショアリングがおこなわれてきました。

しかし、近年のグローバル化によりオフショアリングの形態も多様化し、研究開発や設計、さらにコールセンター業務やバックオフィス業務とさまざまな領域に展開しています。

これらオフショアリング発展の背景には、インターネットの普及による委託先との時差を活用した業務の効率化や、通信コストの低下、さらに委託先現地における人材の知識やスキルの高度化が挙げられます。

もともとコスト削減を目的としたオフショアリングが、近年の研究開発や医療など高度な専門分野に発展したことにより、企業の多面的な組織力向上や、経済環境への影響についても着目されるようになりました。

企業メリットがある一方で、国内でまかなっていた労働力が海外へ流出する懸念もあります。これらの概念は経済学の「フラグメンテーション」とも近く、経済のグローバル化とともに人・モノ・カネが国境を超えて移動をすることで、経済圏に変化が現れるというイメージに近い現象です。

オフショアリングが経済社会にもたらす影響は、日本も含め多くの国が注目をしています。






4. オフショアリングのメリット・デメリット






4-1.オフショアリングのメリット

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オフショアリングのメリットは大きく3つ挙げられます。

<オフショアリングのメリット>


• コストの削減
• 人材の補完
• 海外技術の活用

オフショアリングの最大のメリットはコストの削減です。

日本国内よりも低い人件費やインフラ費の地域に業務を移すことで、業務コストを抑え利益に大きく貢献します。しかしメリットはそれだけにとどまりません。オフショアリングでは、日本より安価な賃金とはいえ現地においては高水準であり、優秀な人材を確保しやすくなります。少子高齢化で今後の人材不足の影響が懸念されるなか、海外の人材を視野に入れたオフショアリングは人材確保のうえでも有用です。さらに、これからのグローバル化が進む変化の多い社会において、企業が多様な価値観を取り入れるうえでもオフショアリングは高い効果を発揮します。現地人の知識や技術が組織に加わることで新しく柔軟な考えを取り入れ、企業のグローバル化を助長する効果が期待できます。






4-2.オフショアリングのデメリット

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オフショアリングのデメリットを大きく3つに分けてご説明します。

<オフショアリングのデメリット>


・コミュニケーションの壁
・進捗管理の難しさ
・国内雇用・技術流出の問題

移管先である国や地域によって、どうしても言葉や思想、文化の壁は避けることができません。オフショアリング先の現地雇用者に対しては、一定期間の指導でコミュニケーションを構築することが重要です。

現地での人材育成や、移管先の担当者と密に連携を取らなければ、互いの認識に齟齬が生じ、製品や納期に支障をきたしかねません。可能な限り可視化するツールを活用し、認識のズレをすり合わせていく作業が有効でしょう。さらに国によっては時差や祝日の違いもあり、やりとりや打ち合わせのできる時間が限られます。進捗管理においても、互いの納期に対する価値観の違いからトラブルになることもあるため注意が必要です。

また、海外に労働力を求める結果、国内の雇用が減少していくことが懸念されます。アメリカではオフショアリングの増加により労働力が流出し、国内雇用を脅かすものとして政治面でも問題視されています。さらに国内技術の流出を防ぐための機密保持や知的所有権保護の体制が整っているかも配慮が必要です。一企業のみならず、さまざまな企業がオフショアリングを進めることによって、もたらされる一企業にとどまらず国内経済への影響も留意しなければなりません。






5. 中国・インドがオフショアリング先に選ばれる理由



日本企業のオフショアリング先は、中国が際立って多く、次いでインドが選ばれています。
日本企業がオフショアリング先を選定する理由は以下が挙げられます。

・ 人件費が安い
・ 日本語を使える人材がいる
・ 英語を使える人材がいる
・ ソフトウェア開発関連の高い技術力をもつ人材がいる

特に中国は、人件費の安さや地理的な近さ、さらに日本語を話せる人材が比較的多いこともあり、2011年発表の調査ではオフシェアリング全体の88%を占め圧倒的なシェアを誇っています。

中国国内の成熟化が進み、法制度やインフラが整うにつれ、オフショアリング先としてのコスト増加が懸念されています。

しかし中国におけるオフシェアリング市場は10年以上の実績をもとに知識や技術、分析力の高度化が進み、グローバルな展開を今も続けています。

コストの実態をみてみると、とくに中国でのインフラ整備による通信費コストが上昇傾向にありますが、それでも人件費におけるコストメリットは、日本と比較して圧倒的に安い現状は変わっていません。

中国に次ぐインドは、IT分野におけるスキルが高くIT企業の委託先として人気を集めています。特に中国が不得意とする大規模プロジェクトを担当できる企業も多く、高度なレベルの委託先として一定の評価を得ています。

オフシェアリング先は業務によって得意不得意があるため、各企業は移管業務の内容とコストを鑑み移管先を選択しています。






6. 日本におけるオフショアリング活用企業の実態

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実際に日本におけるオフシェアリングの実態はどのようになっているのでしょうか。

日本におけるオフシェアリングに向く業務は以下が挙げられます。


●生産・製造業務
人件費やインフラの安さから製品の製造拠点として以前よりおこなわれてきました。ライン作業や決まった工程が多く、製造マニュアルがあれば比較的容易に現地移管がしやすいです。


●定型業務
バックオフィス業務として一定のルールに基づいてデータや伝票処理をする業務は、オフショアリングに向いている業務です。経理や会計といった管理業務を含みます。


●専門性の必要な業務
ソフトウェアの開発や研究開発といった専門性が高い分野はオフショアリングに適しやすいです。特にIT分野におけるオフショアリングは、多くの企業において活発におこなわれています。

日本企業のオフショアリング先は中国、インド、ベトナム、韓国とアジア圏中心です。
2011年に実施されたオフショアリングの実態調査によって、その効果と課題が顕になりました。

調査結果では、オフショアリングの効果として以下の項目が挙げられています。

・開発コストの削減(82.3%)
・人材不足の補完(77.1%)

一方、下記3点が効果の感じられなかった項目は以下の通りです。

・開発のスピードアップ
・コア・コンピタンスへの資源の集中
・相手国市場の開拓

また、オフショアリングを実施した企業は以下の項目を課題として挙げています。

・品質に不安、品質管理が難しい(62.5%)
・現地の人件費上昇(58.3%)
・言語問題でコミュニケーションが難しい(54.2%)

オフショアリングによるコスト削減の効果はほとんどの企業で効果を実感されているようです。しかし、言語や文化の違いによる現地スタッフとのコミュニケーションに時間を割くため、期待以上のスピードアップや品質管理の難しさを感じている企業が多くあります。

近年の課題としては、海外における賃金相場の上昇により、これまで以上のコスト削減効果は期待ができなくなっている点が挙げられます。

しかしオフショアリングはコスト削減だけではない、多面的なメリットを企業にもたらします。海外移管による国内外の業務効率化とコスト、リスクとのバランスをトータルで鑑み経営計画を立てることがオフショアリングを成功させるポイントです。






7. まとめ


「コスト削減」が大きく期待されていたオフショアリングも、近年では企業のグローバル化や海外技術の導入、人材の確保といったさまざまな視点での有用性に再注目されています。
もちろん、雇用や技術流出といったリスクも念頭に入れておく必要がありますが、企業の求める価値や目的が合致し、そのリスクヘッジ対策をすることで、オフショアリングのもたらす効果は最大限発揮されることとなるでしょう。オフショアリングによる世界経済への影響も含め、その動向は今後ますます目が離せません。


参考サイト


有効求人倍率〜日経新聞〜
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL28HOQ_Y8A620C1000000/
オフショア開発の委託先〜ITmedia〜
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0505/02/news019_2.html

BIZHINT
https://bizhint.jp/keyword/107355

カオナビ

https://www.kaonavi.jp/dictionary/offshoring/