職人の視点を体験。工場(こうば)を解放した地域イベント事例

イベントアイデア

地域の特産品として紹介されているものの、地元では意外と知られていないことはよくあります。まちおこしや地域おこしのイベントは、一般的に地域外の方へのプロモーションとして開催されるものが多く、認知度向上や消費促進に一役買ってくれますが、一過性なものになりがちです。一方で地域の住民の方へのプロモーションは一時的な消費のインパクトは地域外の方を対象としたイベントに譲ることが多い反面、地域のよさを改めて知っていただくことで、自治体と住民との関係性を深める貴重な機会になります。

今回ご紹介するのは、地場産業として地元住民に製品のよさを見直してほしいという意図から始まった、地域を挙げてのイベントです。職人が集う工場(こうば)を解放することでモノづくりを体感する機会を設け、改めて製品を知ってもらうきっかけづくりとなった事例をお伝えしましょう。

名だたる工場が「イベント会場」!?

新潟県の三条市・燕市全域は金属加工が盛んなことで知られています。多くの工場が集まるこの地域で、2013年以降毎年開催されているのが「燕三条 工場の祭典」です。

例年10月に4日間の日程で開催されるこのイベントでは、工場内でモノづくりが体験できるワークショップが行われています。2015年には60か所以上の工場が参加。ふだんは目にすることのできない製造現場が公開されるため、好奇心から参加する人が多く、製品への興味も自然と高まりつつあります。

モノづくり体験や見学には事前予約が必要なものもあるそうですが、個人だけではなく法人としての参加も可能で直接営業につながることもあるのだとか。伝統的に受け継がれる手業をアピールできるだけでなく、工場を会場にするからこそ、新たな製品開発の発想が生まれてくるのかもしれません。

リアルな体験が製品の価値への理解を深める

このイベント最大の特徴は、なんといってもモノづくりのワークショップにあります。もちろん、イベント用にアレンジされたものですが、それぞれの現場で職人から指導を受けながら製造過程を体験できます。

メインとなるのは地場産業として名高い金属加工。ほかにも、木工やカトラリー、刃物鍛冶まで幅広い伝統技術が体験でき、希望する複数の工場でワークショップに参加することも可能です。

安全上の観点から、参加者の服装にも制約があります。しかし、製造現場でのリアルな体験を提供することが、製品の価値を理解してもらうよいきっかけとなっているのではないでしょうか。イベント本部による、通訳を交えた外国人向けのツアーも用意され、海外への販路拡大につながる仕組みもつくっています。

伝統製品の販売促進の先にあるものは?

4日間にわたる地域イベントによって得られる地場産業としてのPR効果は、かなり大きいものです。紹介した製品の販売拡大だけでなく、地域観光の推進にも一役買っています。さらに注目したいのが、後継者の育成にもつながるということ。伝統技術が廃れていく現代において、こうした取り組みは将来に向けた大きな役割を担っています。ひとつの工場だけでは難しい企画も、複数の企業が連携して地域づくりとマッチングすることで、双方によい影響を与えている事例といえるのではないでしょうか?

人の好奇心をくすぐることが認知度アップのポイント

普段は足を踏み入れることのできない製造現場をイベント会場にするという演出により、参加者は好奇心をくすぐられます。その非日常空間で実際にモノづくりを体験することで製品の価値への理解がより深まり、価値あるものを生みだす施設が地元にあるのだという誇りを持つことでしょう。そしてそれは、地場産業の認知度アップにもつながっていくのです。

 

参考: