額縁に掲げただけのビジョンはいらないービジョンが浸透する組織文化の創り方

組織マネジメント

離職率が高い、職場の人間関係がうまくいっていない、仕事の能率が上がらない。これらの問題は、社員のエンゲージメントの低下につながり、組織の生産性に深く影響していきます。

もし、あなたの職場でこのような問題を抱えているのであれば、独自の組織文化形成に注力してみてはいかがでしょうか?

本稿では、独自の組織文化を形成するべき理由と、形成の方法についてご紹介いたします。

ネガティブな組織文化はカネがかかる

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独自の組織文化を形成する事は、中長期的なビジネス戦略を練る事と同じぐらい重要です。なぜなら、職場の組織文化は、企業価値やブランド力を向上させたり、時には台無しにしてしまう可能性があるからです。

スタンフォード大学Emma Seppala博士とKim Cameron博士は、「社員にとって重圧となる、ネガティブな組織文化を持つ企業は、医療、採用の面でコストが増加し、生産性を押し下げる」と述べています。

従業員のエンゲージメントスコアが低い組織では、生産性が18%低下し、収益性が16%低下し、雇用の伸びが37%低下し、時間の経過とともに株価が65%低下しました。

このように組織文化の形成は、企業にとって非常に重要なのです。それでは、実際に私たちは何をすれば良いのでしょうか?

組織の頭から尻尾までアイデンティティを浸透させる

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まずあなたが最初にすべきことは、会社のミッション、ビジョン、価値観を、社員に向けて具体的に打ち出していくことです。この3つは組織文化形成のための土台となります。

これは単純に、ミッション、ビジョン、価値観を立派なハンドブックにまとめることや、先進的なロゴデザインを作るようなことではありません。

作成することは抽象的なこれら3つを可視化するという面では貢献しますが、それだけでは不十分です。実際に人事制度や研修、個別の目標、商品開発など、会社の全ての活動にこれら3つをリンクさせなければなりません。

ミッション、ビジョン、価値観を打ち出した後に半期程経ったら、アンケートを活用して、これらがきちんとリンクされているかを社員への浸透度を調査する機会を設けるべきです。

アンケートによる評価は数値化することが出来る為、世の中で既に出ているデータを参考として比較することが可能になります。数値が参考データよりも低かった場合、制度の見直しや、フィードバック方法の変更、イベントや社内行事での認知活動の拡充などにより、これらの数値を改善していきます。

透明であることこそ社員の信頼を生む

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透明性のある組織は、上司と部下の信頼関係を育むために重要です。

透明性のある組織とは、各個人が何をしているかが「理解できる」組織のことです。
そのためには、部下は上司と同じ視点からも、会社の全てに関わる目的とゴールを見ることができる状況が必要です。上司の役割を理解している部下は、上司に信頼感を抱くようになります。

このような組織にするためには、「業務の見える化」と「コミュニケーションの活性化」が重要となります。

業務の見える化とは、会社のバリューチェーン上で各部門、各職位がどのように関わりあっているのかを、現場活動の組織全体への影響度とともに明確にすることです。

また、コミュニケーションの活性化とは、社員と会社との心理的な距離を近づけることです。

座る席を自由に選ぶことの出来る、フリーアドレス制も心理的な距離を近づける一例です。フリーアドレス制により、普段は直接会話することの少ない、新入社員と役員が机を並べて仕事する機会も創出できます。物理的な距離の近さが、心理的な距離の近さに影響していくことは、心理学では「パーソナルスペース理論」などで実証されています。

学びが社員の成長を促し、組織に個性を持たせる

32_(5).jpg各個人の成長により、組織独自の個性が形成されていきます。

もしミーティングの際に、社員からの発言が減ってきていたとしたら、彼らは転職を考えている時かもしれません。「今の会社では、スキルアップ、キャリアアップにつながる学びはもう無いかもしれない。」彼らがそう思ってしまう前に、彼らに成長と学びの場を設ける必要があります。

オンライン学習を購入したり、業界の会議に出席させて、スキル向上のための予算を投じましょう。または、チームメンバーが関心を強く持つトピックを聞き出し、「ランチ勉強会」を主催するのも良いかもしれません。自社のメンバーが興味ある分野のスキルを共有し、個人のスキルを成長させることで、組織独自の強みが備わってきます。

米国ニューヨークにある、URL短縮サービスを提供するIT会社Bitlyでは、一週間に一度、昼食と勉強を兼ねた「ランチ勉強会」を実施しています。毎週水曜日、社員全員は、その日のミーティング、スケジュールに関わらず参集し、昼食を取って一緒に座って、テーマを決めて学んでいます。

ある人は講師側に回り、関心があることや、彼らが取り組んでいるサイドプロジェクトを紹介します。残りの人は聴講生となり、昼食を楽しみながら学びます。

これが、企業独自の文化を作り出す重要な場になっています。ランチ勉強会を成功させるポイントは次の3つにあるとBitlyのオフィスマネージャーKatie Curri氏は述べています。

・毎週同じ日時に開催する。(社員のルーチンに組み込む)
・ランチメニューを事前計画する。(社員の好きな食べ物をリサーチして楽しみにさせる)
・根気をもって続ける(社員の参加率を上げるには、かなりの労力が必要)

「ランチ学習会」は内部の声から、企業文化を形成する良い施策と言えるでしょう。

社員の使命感をくすぐれ

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社員は信頼されることを望んでいるかもしれません。なぜなら社員たちは自分の能力に自信があり、責任のある仕事をしたいと考えているからです。

チューリッヒ大学とミュンヘン大学の合同研究では、部下に裁量権を与え使命感を持たせると生産性が増すという研究結果が示されています。

社員を信頼するという事を、実務レベルに落とし込むということは、細かい管理(マイクロマネジメント)をせずに自主性に任せたマネジメントをするということです。
裁量権(職責・肩書)を与え、成果に対しては適切なフィードバックに基づいた報酬を与えましょう。

まとめ

ポジティブな自社独自の「組織文化」が形成されることで、離職率が下がり、生産性が高まることが期待されます。

本稿で紹介した手法が、皆さまのお役に立てば幸いです。

参考文献

5 Things To Create A Workplace Culture Employees Love.

Proof That Positive Work Cultures Are More Productive(Harvard business review)

チーフカルチャーオフィサー が会社を伸ばす! ---企業ブランディングを成功させる「37」のヒント(amazon)

「業務の見える化」(ビジネス・ソリューション株式会社)

社内のコミュニケーション活性化は最重要!取り入れやすいアイディア教えます。

Why one on one meetings are your most important work meeting

One On One by Ben Horowitz

LUNCH AND LEARN: WHY WE DO IT AND WHY YOU SHOULD TOO(bitly)

Discretion, Productivityand Work Satisfaction(Björn Bartlinga, Ernst Fehrb and Klaus M. Schmidtc)PDF University of Zurich、 University of Munich