中途採用者の働きをブーストするために必要な3つのこと

赤提灯マネジメント

今月に入って、ウチのチ-ムに中途採用者が入ってきた。

本格的に一緒に仕事をしていくのはこれからだが

なるべく早く活躍してもらいたい。

というか、活躍してもらわないと僕が死ぬ。

 気になる点といえば

中途採用者を部下に迎えるのが初めてというコト。

 まあ、新卒の新人に比べたら社会人経験もあるわけなんだし

面接や試験を通り抜けてきたんだから能力的には問題ないよなあ。

 そんなに気にするコトもないかな。

 そんなことを考えながら歩いていたら、赤提灯につられて

今夜もつい、いつもの居酒屋に立ち寄ってしまった。

 登場人物】

佐藤(29才):電子機器メーカー開発 新米係長 

鈴木(50才):製薬会社 海外営業部 営業本部長  


 「中途で入ってきた人が部下になったって、さらっと言ってるけど。結構大変だぞ。」

「そうですか?でも、社会人経験があって、しかも同業種を経験してきたということは、僕が細かくイチから教えなくてもなんとかなるってことでしょう?」

 

「そう言うことじゃないよ。佐藤君は中途採用の部下を持ったことがないんだっけ?転職経験もないよね。」

 

「はい、そうです。」

 

「俺は何回か転職してきたけど、何回経験しても新しい人間関係の中で仕事を始めていくのは大変だったよ。本来の自分の力を出すまでがなかなか大変なんだよ。」

 

でも、僕のチームに入ってきた人は業界未経験ってわけじゃないですし、僕より年上です。経歴を見ましたけどエンジニアとしての経験も申し分ないんですよ。」

 

「即戦力って形で君の会社も採用したんだろうし、本人もその期待に答えたいと気張ってるんだろうけどさ。その人、どんなヤツなの?」

 

「入ったばっかりで、あんまり話してないんでなんとも言えないですね。」

 

「それだよ!問題は。」

 

話す機会を作る

 「え?まだ何も起きてないですけど。」

 

「いやいや、君の部下なんだから。その人がどういった人物であるとか、パーソナリティを把握しなくちゃならんだろ。入社して一月近く経ったんだろ?早めに信頼関係を築かなくちゃダメだよ。」

 

「いやあ、バタバタしてて、歓迎会もだいぶ先になりそうなんですよね。」

 

「入社して最初の三ヶ月以内で信頼関係を構築できたかで、その後の仕事やプロジェクトが大きく変わってくるんだぜ。君のキャリアにも関わってくるかもしれないしな。」

 

「部下に当たるわけですから彼の仕事の評価が、僕にも関わってくるとは思いますが…。」

 

「君は上司として、彼に最高のスタートを切らせて上げなくちゃ。まずは信頼関係の構築だね。話す機会を多く持ちなよ。まだ、全然喋れてないんだろう。」

 

「そうですね。メシでも一緒に食べようかなと思ってはいたんですけど。」

 

「それで良いんじゃない。お互いに好きなもん食いながら話せば仲が深まる。」

 

「そう言えば、食事中の意見交換は好意的に受け取られるって話をこの前ネット記事で読みました。」

 

「人間、好きなもん食いながら喧嘩なんてできないからなあ。営業なんかでは当たり前だけど、昔から政治や外交では会食が重要とされてきたからね。」

 

「その機会に話しておいたほうが良いテーマとかあります?」

 

「うーん、メシ時の話題ねえ。俺だったら好きなメシとか酒の話するな。それに出身地やスポーツの話して、趣味や家族の話題を向けるかな?なんか会話のフックを探すみたいにね。」

 

「人って何かしら熱く語りたいトピックがあったりしますからね。」

 

「なぜ?」を徹底せよ

 「そうそう。好きな事を話してると不思議と相手の高感度も上がっちゃうんだよね。あ、そうだった。部下との関係性が薄い初期の段階で《なぜ》を明確にしておくことは重要だよ。」

 

「え?それって具体的に言うとどういうことですか?」

 

「新しいプロジェクトにメンバーをアサインした時に『なぜこの製品・サービスを作るのか』とか『なぜ、とりくむのか?』とか『なぜこの指標を目標に選ぶのか?』みたいな本質的なことを話しあっておくんだよ。まあ、当たり前っちゃあ、当たり前なんだけどね。

 

こういう本質的な事の共有をしないまま仕事を進めちゃう場合が案外多いんだ。この《なぜ?》を明確にすることで、チームの目的を明確にしてゴールへの筋道や戦略を立てて行くんだよ。」

 

「チームのベクトルを合わせる感じですか?」

 

「そうだね。チームの方向性を共有するんだ。勿論それだけじゃなくて、新しく外部から入ってきた人からの意見をもらう意味もあるけどね。部外者であった人だから気付ける点ってあるんだよ。」

 

「新しく入ってきた中途採用の人からも《なぜ?》をもらうんですね。」

 

「まだ、組織の慣習に捕らわれていないから忌憚ない意見とか直球な質問をぶつけてくる事が多いんだよ。例えば、『なんであの人がチームにいるんですか?』とか言ってくるヤツがいたよ。」

 

「それは結構、キツイこと言ってきましたね。」

 

「俺はそれぐらい言ってもらった方が良かったね。構造やシステムに対する再考証のヒントになった。この案件は過去の事例から考えて、あの人も一応アサインしとこうなんて事があったりするからね。実際はいなくてもいいヤツが混じってたりしてね。」

 

「ははは。そう言えば、この前見たTEDで『優れたリーダーはどうやって行動を促すか 』というテーマのプレゼン見ましたよ。『Why → How → What』の順で伝えることで人は行動するようになるって話だったと思います。」

 

チームのために何をして欲しいか伝える。

 「そうだね、そういう事だ。俺もwhyを共有してから戦略・戦術を決めて仕事を始める事が大切だと思う。あと、もう一つ大事なのが《チームのために何をして欲しいか》を伝えてあげることだな。」

 

「《チームのために》ってのが重要なんですか?」

 

「どんなヤツでも新しい環境に身を置いた時は自分のことばかり考えちゃうんだよ。俺もそうだったんだけどさ。新しいポジションについた時に『自分がここで評価されるためには何をすれば良いだろう』と考えることが多いんだ。」

 

「別に悪くないんじゃないですか?向上心があって良いと思いますけど。」

 

「確かにそうだ。でもね、誰だって最初はやる気ある状態で入社してくるワケだよ。それで、『ようし!上長に仕事ぶりをアピールしよう!』と浮足立って、本来の自分の力量以上の力を発揮しようとした結果、空回りしちゃうってパターンが結構あるんだ。」

 

「それ、鈴木さんの体験談ですか?」

 

「うん、まあね。今だから分かるけど。まずは堅実に地に足つける事がポイントなんだよ。上長は新しくアサインされたメンバーに、チームが求めているものは何なのかを伝えてやれば良いんだ。」

 

「仕事の合格ラインを教えてあげるんですね。」

 

「そうだね。合格ラインを明確に引いてやるんだ。そのラインを越える事が新しくチームに加わったメンバーの最初の仕事だ。」

 

「なるほど。」

 

「あと、ついで言うと。初めて加わる会議や現場に飛び込んで恥をかく事を恐れさせないようにするんだ。新しくチームに加わった人に一番足りないモノはその組織での経験知なんだから、最初は恥かいて当たり前だと思ってもらう。」

 

「恥かきながら仕事を覚えてもらう、と。」

 

「そう。仕事の覚えの速さってのは個人差がある。あいつはデキる、デキないとか。それを個人の努力や才能の差で片付けてちゃ、マネジメント失格なんだよ。そんな事よりも、分からない事があれば、聞きやすい職場環境や部下が成長しやすい雰囲気を作る事が上司の努めだと俺は思う。」

 

「そのためにはコミュニケーションを多くもった方がいいって事ですね。」

 

「時間をかけて信頼関係を築いて、合格ラインの仕事をこなしてもらって一緒に働いていけば上司も部下も一緒に成長するよ。そしたら周りから君のチームの仕事ぶりが認められていくって話だ。」

 

「なるほど、今日も勉強になりました。」

 

「なに、気にするな。俺は受講料さえ頂ければそれでいい。」

またしても、奢らせられてしまった。

余計な出費が増えてしまったが、今日もおじさんと話せて良かった。

―今日も居酒屋の赤提灯は煌煌と夜に浮かんでいた。

鈴木さんに教えてもらったコト

 ―中途社員に活躍してもらうために上司がすべきこと

・話す機会を作る

・「なぜ?」を徹底せよ

・チームのために何をして欲しいか伝える。



~続く~

本記事は、赤提灯居酒屋で企業戦士たちの談話を肴に、お酒を嗜むことを趣味とする筆者が、居酒屋で耳にした実話と仕事上の体験談を、プライバシー保護を目的に編集・再構成したフィクションです。