それって丸投げになってない?人に依頼する時に気をつけておくべき事

ビジネスサプリ

本記事はビジネストレンドやビジネスハックについて会話型で解説を行うフィクション記事です。実在の人物や団体とは関係ありません。

八代さん
日本舞踊とゾンビ映画が好きなOL 上司に丁寧な物腰で失礼な事を言うのが得意。
趣味に没頭しており、世の中のトレンドに疎い。悪気はない。

部長
会社で割とエライ人 八代さんに失礼な事を言われる事に困惑している。
役職柄社員の働き方が気になっている。最近のトレンドや日本だけでなく海外の事情にも詳しい。


「はああああ…」

「どうしたの八代さん?」

「部長…トラウマで困っているんです。」

「君のような強靭なメンタルを持つ人間にトラウマなんてあるのか?逆に興味があるんだが。」

「何をおっしゃられるんですか?世界観の話です。トラマナがおかしいので嫌になってきたんです。」

「(毒の沼のダメージを軽減させようとしているのか?)何の事をさっきから言ってるんだ?」

「もう!コレですよ!新規キャンペーン広告で使うデザインの件ですよ。」

「トンマナな。トーン&マナーでトンマナだからね。」

「部長に紹介して頂いたパートナーさんから上がってきた案が私のイメージと違うんで困ってるんです。」

「(俺のツッコミはムシかよ。)ああ、この前君に頼んだ案件か。おかしいな?彼らとは10年来の付き合いだけど、毎回良い仕事をしてくれてきたけどな。」

「もう!ぜんぜん良い仕事じゃないですよ!これ見て下さいよ。」

「ふむ。…確かに良くない。おかしいな。担当者が変わったって話も聞いてないし。」

「何回も修正入れてるのにイメージを分かってくれないんです!」

「…八代君、どんな依頼の仕方したの?」

「ええと。前回までのデザインだとオヤジ臭くてダサかったので、もっとシュッとしてて、サラッと目に入ってくるようで、しつこくなくコクのある感じでと、お願いしました。」

「前回までのデザインは私のディレクションなんだけど…、その他にはどうしたの?」

「新しくイチからデザインするのではないので、制作費はいつものより少なめで、納品はいつもより早くしてって念も押しました。」

「…ホントにそれ、やったんだね?」

「はい!お金払ってるんだから、コレぐらい要求しても良いですよね。…ああ!部長!私のぬいぐるみを捨てないで下さい!」

「ダメだ!それに、この気持ち悪いぬいぐるみが置いてあるのは私の机だ!私の机の上に置いてあるものを私がどうしようが私の勝手じゃないか!」

「そんなのメチャクチャです!それに深海魚ぬいぐるみは気持ち悪くありません!部長にそっくりで可愛いので、あえて部長の机に置いてあるんです!」

「深海魚そっくりで可愛いってどういう意味だよ!」

「部長。一旦落ち着いて下さい。私が部長の机にぬいぐるみをそっと置いていくのは感謝の表れなんです。」

「ああ、いかん。君のペースにはまって自分を一瞬見失ってしまったよ。」

「誰でも間違いはあります。」

「何で君に諭されなきゃならんのだ!君の仕事の頼み方がダメすぎるんで!我を失なっちゃったんだろうが!」

「申し訳ありませんでした。部長は悪くないです!」

「本当に悪いのは君なんだからね!今回の件は相手先に失礼なことをしたんだよ。」

「えーと、どのあたりが失礼だったんでしょうか?」

「ほぼ全部だよ。君がやったコトはレストランに行って『なんでもいいからオススメ下さい』と適当に注文して出てきた料理にケチをつけているようなもんだ。」

「それは失礼ですね。私は特に好き嫌いはないので何でも美味しくいただきますが。」

「(ダメだ、ここにツッコんだらヤツのペースに持っていかれる。)あくまで例えだよ、八代さん。人に依頼する時の心得を君に教えなきゃならないな。」

「はい!ご教授ねがいます!」

「(…返事は本当にいいなこのコ)人に依頼する時に気をつけなくてはいけない事は・スケジュール計画・アウトプットイメージの共有だ。」

「スケジュール計画ですか?」

「そう。決められた納品のタイミングに向けて、いつ、だれが、何を行うのか。これを依頼者である君と受託者である彼らとがしっかりと目線合わせ出来ていないといけないんだよ。」

「カレンダーみたいなヤツを提出してもらいましたけどアレですね!」

「そう。今は、スケジュールを簡単に共有するツールもたくさんある。こんな風にね

社内でも外注でも仕事を依頼する時は、相手には余裕や遊びを持って計画しないとすぐに破綻しちゃうぞ。」

「はい。私がいつも仕事が遅いと言われていたので、つい今回は相手先に無理なお願いをしてしまいました。」

「うん。次からは気をつけてね。そして2つ目。アウトプットを共有するっていう点だ。今回、君はどういう風に仕様を伝えたんだっけ?」

「部長。話を聞いていましたか?前回までのデザインだとオヤジ臭くてダサかったので、もっとシュッとしてて、サラッと目に入ってくるようで…」

「(あのデザイン、そんなにダサかったかな…)うん、さっき聞いてました。それで先方はどういう対応してくれたの?」

「ええと、まずですね。キャンペーンの目的と対象を細かく聞いてきました。」

「それで、君はどうしたの?」

「伝えましたよもちろん。先日部長からいただいた資料を見せて。。」

「他には聞かれなかった?」

「タブレットを見せられて《シュッ》っていうイメージはこういうのですか?みたいに聞かれました。」

「ふーん。それで見せられたものの中にイメージに近いものはあったの?」

「まぁ近いかなっていうのはありましたよ。ただ、ピンとくるようなものはなかったので、3つくらい案を出してくださいとつたえました。」

「で、出てきた案がイメージと違うと?」

「そうなんです。それで何度も修正してもらってるんですよ。嫌になっちゃう。」

「そりゃあ、イメージ通りの案なんて出てこないよ。」

「ええ!?なんでですか?」

「たくさんあるわ!まず、キャンペーンがどうなってほしいのか一番重要な点を伝えてない。」

「伝えたじゃないですか?あの資料で。」

「あの資料は社内用でしょ?しかも、取り組みの全体計画の資料だから、キャンペーンの細かい事情やプロセスなんかはページの都合で割愛しているし。伝えるのであれば、その事情やプロセスを君が伝えなければいけないんだよ。担当なんだから君の仕事だ。」

「はい…。(部長ってやっぱりあの深海魚に似ているなあ。)」

「(あっ。ちょっと言い過ぎたか?まあ今回はちゃんと言わないとな。)それにね。今回の場合はイメージの伝え方が抽象的すぎるよ。」

「抽象的ですか?具体的だと思いましたけど。オヤジ臭いとか・・・」

「えっと。一旦オヤジ臭いってのから離れていただけますか。シュッとかサラッといった言葉は、日常会話で使う分には別に良いんだけど、相手に何かを依頼する時には、人によって受け取り方が違うってことを理解して使わないといけない。デザインみたいに形が見えないクリエイティブな場合なんか特にだ。」

「またクリエイティブなんて横文字使って。最近また横文字多いですよ!」

「(あぁもう!)ごめんごめん。言いたかったのは、もしシュッとだとかの言葉を使ったのであれば、君の言う『シュッ』ていうのがそもそもどういうのかを明示しないといけないってこと」

「うーん。中々難しそうな気が・・・」

「もし、伝えるのが難しかったら、社内にある今までの前例から変更点を具体的に伝える方法にやり方を変えたり、イメージに近いデザインをネットや本で探して伝えた方がいいよ。」

「そういえば、私のイメージに近いデザインがこの前インスタにアップされてたので保存してます。」

「そうそう。今は自分のイメージは探せば見つかる時代だからね。他にもイメージを見つけるサイトにはFlickrとかピンタレストなんかもあるね。」

「でも部長。イメージを伝えるのに、ここまでお膳立てする必要はあるんでしょうか?こちらはお金を払ってるんですよ。イメージをすり合わせるのは提案する側の仕事じゃないですか?」

「確かにサンプルを持ってくるとか、ラフデザインを描いたりするのは彼らの仕事。でもね、こういうのを作りたいという意思を相手にわかってもらえるように伝えるのは発注者である君の仕事だ。それに、彼らはイメージを確認してただろう?彼らはイメージをすり合わせようとしてたんじゃないのか?」

「う。確かに確認してました。ただ、なんていうか、イメージの感覚とかその辺は、長くお付き合いがあるって聞いてたんで、あちらもわかってると思ってました…。」

「確かに長く付き合ってる分、うちの商品のことや組織のこと、それから僕たち決裁者の嗜好なんかも細かく知っているよ。でも彼らは社内の人間じゃない。社外の人間だ。」

「中の人じゃないって事ですね。」

「そうだよ。だから今回のキャンペーンの目的や主旨であったり、対象者にどうなって欲しいのかという期待度や表現してもらいたいイメージはしっかり伝えなければわからない。」

「あうんの呼吸っていうのがあるのかと思ってました。」

「それはもちろん。僕個人と彼らとは長い付き合いだからあるかもしれん。でも君と仕事するのは初めてだろう?君の考えはまだわからないと思うよ。」

「確かに。私の気持ちがいきなり分かってたら、ちょっと気持ちが悪いですね。」

「それに、やみくもにいくつも提案を要求するのもイケてないね。」

「でも、いくつか提案してもらってから選ばないと決まらないじゃないですか?」

「仮にそうだとしても、君は選ぶ基準や観点をちゃんと項目にして渡したかい?」

「いいえ、伝えてないです。」

「僕が君に具体的な指示や評価指標を何も渡さずに、とりあえず今回のキャンペーンの企画を明日までに複数作ってくれ。って言ったらどうする?」

「今すぐヒアリに刺されないかな?変な伝染病にならないかな?ネットで炎上しないかな?あるいは会社辞めないかな?って思いますね。」

「(ひどい…。)君が今回彼らにお願いしたのは、これと同じことじゃないの?」

「う。確かにそうですね。」

「それに、『お金を払ってるんだから』という考えは、うちにとって重要な協力会社に対してとても失礼だよ。」

「え。私、そんなつもりはなかったですよ。」

「そうだね。僕も君がわざと失礼なことをしたとは思っていないよ。でも君は今回の仕事では、仕事を依頼する側としてやらなければいけないことを怠ってしまったわけだ。それに気づかず、『お金を払ってるのはこちらだ』という認識で延々と修正の指示をしている。結果的に失礼なことをしてしまっているんだよ。(ちょっと言い過ぎたかな。)」

「…はい、わかりました。」

「(お!今回のは響いてるなあ。)よし、今日言った・スケジュール計画・アウトプットイメージの共有をしっかりして、もう一度やりなおしだな。」

「はい!バッチリです!」

「(この返事が出ると本当に分かってるか不安になるなあ)・・・。」

「(部長は深海魚に似てて可愛いし、こんな時は本当に頼りになるなあ)ニコニコ」