チームの利益と個人の利益、良い上司と悪い上司を分ける1つの考え方

赤提灯マネジメント

あいつのようにはなりたくないな。

と、思う上司は誰にでもいるんじゃないだろうか?

先週末に、久しぶりに開いた同窓会で
学生時代の友人は会社の愚痴

主に上司への愚痴が多くて、あまり楽しめなかった。

そんな酒席の後の飲み直しってわけじゃないけど
今夜もつい、いつもの居酒屋に立ち寄ってしまった。

【登場人物】
佐藤(29才):電子機器メーカー開発 新米係長 
鈴木(50才):製薬会社 海外営業部 営業本部長 

53_(2).JPG

「週末、大学の同期と飲み会があったんですけど、ほぼ上司の愚痴で終わっちゃいました。」

「まあ、君らの年代ならそうなっちゃうんだろうね。具体的などんな愚痴だったわけ?部下を持つ身としては少しだけ気になるな」

「3人で飲んだんですけど他の2人は営業の人間なんで、僕にはピンとこない話もありました。どちらも我慢できない上司がいるみたいなんで、その話で盛り上がってました。どちらの上司にも共通点があったみたいで。」

「共通点?」

「はい。その上司の下だと、すぐ人が辞めてくみたいなんです。なんでも能力のある人から会社を去っていくって話でした。それでも、その上司はとにかく仕事はできるみたいなんで、上層部からの評価は高いらしいんですよね。」

「ああ、数字あげるのが上手いプレイヤーが管理職になって、部下が苦しむヤツだね。なまじ結果を出してるから経営陣からは評価が高いんだよ。」

「そんな事を言ってました。上層部には自分のチームが良く見えるように取り繕うのが上手いって。」

「チーム全体の数字上は良くても中身が偏ってたりするんだよね。成果が上がっている部署でも、個人の成果を見ると結果を残しているのは、実は実質リーダー1人だけだったりしてね。」

「その上司は俺がこのチームを引っ張ってるぜ、って思ってるらしく、部下が辞めてくのは部下が無能だからだって思ってるみたいなんです。」

「たまにいるんだよね。数字上げていった結果、出世しちゃうと、自分が常に自身がトップでありたいって思うダメなタイプのプレイングマネージャーになってしまう。」

「ほんと、そんなヤツの下には就きたくないですよ。」

「その上司が、そんな風になったのも環境のせいなのかもしれないよ。ある程度仕事できるヤツがチームを率いるようになったら、誰でもそうなっちゃう可能性があるんだよ。」

「いやいや、僕はそうはならないと思いますよ。」

「君はまだその機会が無かったのかな。プレイヤーとマネジメントを同時に任せられると誰もが一時的に陥ってしまいがちなんだけど。まあ、想像してごらんよ。

君のチームで誰かが給料分の仕事もしてなかったとする、その不足分は君が補わけれならない。チームの誰かが基準以下の品質のものを上げてくるので、仕事を任せるのが不安になってきている。

君のチームの成果が上がらず、他の部門からどう見られてるか四六時中心配で、君をイライラさせるか神経を逆撫でしてくるような連中と毎日一緒だ。」

「…それは、まあ。キツイですね。」

「だろう?これで、自分一人でやっちまった方が早いと思って実行してるのが君の友人の上司だな。」

「鈴木さんも、昔、色々あったんですね?」

「まあ、君よりは少し生きてる時間が長いからね。チーム内の状況の改善が絶望的だと判断しちゃったら、自分自身のキャリアを前進させることだけを考えてチームとしての利益より自身の利益を優先するのはありえる事だよ。」

「僕が理想とする上司像ではないですね。」

「君が理想とする上司像ってなんだよ?」

「うまく言えないんですけど、チームの欠点を自分のリーダーシップの欠点の表れとして考えられるような考えられる人物。チームとしての成功を最優先として考えて、それが達成しやすい環境を整えるには、自分は何が出来るかを常に考えられる人物ですかね?」

「なるほどね、all for one,one for allの考え方だね。俺は会社の目標は金を稼ぐことだと思ってる。それを組織で達成させるのが上手いヤツが良い上司だと思うな。俺は面倒くさがりだから、一人でやるより皆に手伝ってもらった方が良い。」

「なるほど。鈴木さんが部下に対して気をつけてる事ってあるんですか?」

「うーん、部下に気をつけてる事はそんなにないんだけど、俺がプレイングマネージャーしてる時に、育って欲しい部下にやってたのは、優良顧客やエリアをあげることかな。」

「え?それは何でやってたんですか?そりゃ部下は嬉しいと思いますけど、甘やかしてるだけなんじゃないですか?」

「マネージャーって冠がついた時点で、エースとして数字を上げることよりも、マネージメントすることを重視するべきだと俺は思ったんだよね。」

「でも、それでチームや上司にメリットってあるんですか?」

「良いクライアントを持たせる事で、コレは失敗できないなという責任感も持ってもらう。必然的に数字も上がってくるから、その成功体験をもってもらう。あとは自分の育てきたクライアント、つまり『自分の有効な武器』を渡す事で部下から信頼をもらう。大体、この3つが目的だね。」

「確かに、それくらい上司にしてもらったら部下はやらざるをえないですよね。」

「部下が成長して成果をあげてくれるようになれば、俺の評価も上がるしね。『小利を捨てて大利に付くべし』だよ。」

「なるほど。僕もいざとなったら目先の利益を捨てて部下を優先できるようになるくらい器をでかくしていかないとダメですね。」

「君の場合は、愚痴を聞いた愚痴を言いに来るくらいヤツだから。器もまだまだ育てがいがあるだろうね。俺にもう一杯奢ってくれるようになれば器も大きくなるんじゃない?」

またしても、奢らせられてしまった。
余計な出費が増えてしまったが、今日もおじさんと話せて良かった。

―今日も居酒屋の赤提灯は煌煌と夜に浮かんでいた。

~続く~

本記事は、赤提灯居酒屋で、企業戦士たちの談話を肴に、お酒を嗜むことを趣味とする筆者が、居酒屋で耳にした実話と、仕事上の体験談を、プライバシー保護を目的に編集、再構成したフィクションです。