告げるは恥だが役に立つ「イエローフラッグ」のすすめ

社内コミュニケーション

仕事をする上で重要な事の一つが、納期を守ること。プロジェクトを任せられた時のチーム単位での進捗管理は、仕事の難易度として高いレベルが求められます。抱えるプロジェクトが大きくなるにつれて、関わる人の数も増え、マネジメントはより難しくなります。

そこで本記事では、「イエローフラッグ」と呼ばれるプロジェクト管理に有効なファシリテーション・テクニックについてご紹介したいと思います。


ピンチを共有する仕組み「イエローフラッグ」

5_(1).png

「イエローフラッグ」は、その名の通り、「黄色信号」を表しています。ある仕事の進め方がわからなかったり、自信がなかったり、求められた納期に間に合いそうもない時に、「黄色の旗」を揚げて助けを求めるということです。

プロジェクトリーダーにとって進捗管理を目的とした報連相は生命線にもかかわらず、プロジェクトメンバーが報連相を怠る例は多く存在します。プロジェクトメンバーは、なぜ自らのミスやマイルストーンの遅延を隠匿してしまうのでしょうか?

そのメンバーに仕事の責任感がないから?プライドが高く、自分のミスを報告するのが恥ずかしいから?ミスがバレなければ良いと思っている、子供っぽい、短絡的な考えを持っているからでしょうか?

少しでもプロジェクトに関わった経験がある方なら実感出来るでしょうが、報連相が滞ってしまう組織にある本質的な原因は、「チームメンバーがピンチ、トラブルを話し難い、組織環境」にあります。そして、この課題に対する解決策として、チームメンバーがリーダーや他のメンバーに報告しやすく、相談しやすい環境を作る施策の一つがイエローフラッグなのです。

イエローフラッグはどんな場面で掲げる?

5_(1).jpg

このイエローフラッグを有効に使うためには、何が黄色信号で何が赤信号なのかを明確にする必要があります。以下にあるRAG評価(Requirements Assessment Group Rating)と呼ばれるプロジェクト状態の定義に従って、チーム内での共通認識を確立しましょう。

青色 
状態:全ての面においてプロジェクトは予定通りに進行している
行動:特に必要ない

黄色 
状態:納期やコスト、成果物に問題が発生中、プロジェクトチーム内で対処可能

行動①:「ピンチ」をプロジェクトチームに共有し、アドバイスを求める

行動②:クライアント/上司への進捗報告の際に簡潔な説明をする

赤色 
状態:問題は、プロジェクトチームやマネージャーだけでは対処できない状態

行動:この問題は早急にクライアントや上位者にも報告しなければならない

至ってシンプルではありますが、上記の通りイエローフラッグの存在をチームに周知させることで、緊急事態を回避できるだけでなく、「困った時はチームで戦う」という意識を植え付けることが出来るのです。

ピンチの共有を奨励して働きやすい会社に

5_(2).jpg

日本企業でこのイエローフラッグ制度を取り入れている企業が、「ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社」様です。

Great Place To Work(R) Institute主催、2016年「働きがいのある会社」ランキング(従業員25~99名部門)において第2位に選出された同社で働く影山明氏は、著書『プロジェクトを変える12の知恵ーケンブリッジ式ファシリテーション』に関するインタビューの中で、イエローフラッグについて以下のように語っています

「社会人3年目くらいまでの経験が未熟な方にとっては「イエローフラッグ」をお勧めします。経験が未熟であればあるほど、何をして良いのか分からず固まってしまう傾向があると思うので、「ちょっと私、このままではマズイです」と手を挙げることを歓迎しています。ただし、考え抜くことが疎かになっては本末転倒ですので、ある程度頭を捻ってもらうことは大前提です。」

「自分がどういう状態にあるのかを理解していないとイエローフラッグを挙げることはできません。そのように考えると、実はイエローフラッグを挙げることは誰にとっても難しいものです。また、イエローフラッグは「責任とは何か」についても問いかけています。多くの場合、「おまえ一人でやれ」というのが責任と受け取られていないでしょうか。ケンブリッジが考える責任とは、誰にも迷惑をかけずに一人で抱え込むことではありません。ゴール達成のためであれば、「あなたがやらなくても良いので必要な人を巻き込んで最後まで見届けること」が責任だと考えています。」

参考:『プロジェクトを変える12の知恵ーケンブリッジ式ファシリテーション』著者インタビュー

イエローフラッグの効果的な活用は、単純なリスクヘッジのみならず、社員が同じ姿勢で仕事に向き合い、チームのエンゲージメントを向上させる機会を提供してくれるのです。

チームビルドにも効果的

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様の例にもあるように、「イエローフラッグ」は、プロジェクトマネジメントだけではなく、チームビルド、人材育成の点からも非常に有効だと言えるでしょう。

失敗を言いにくいピリピリとした職場では、働く従業員のパフォーマンスも低下してしまいます。困った時に言いたいことが言えないような組織文化が多い日本で、「イエローフラッグ」は有意義な制度です。この機会に、PMOでお悩みの方は、「イエローフラッグ」制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

How to use RAG Status Reporting For your Project?(Project Accelerrator Newa)

How to Use RAG Status Ratings to Track Project Performance(Leadership Thought)

『プロジェクトを変える12の知恵ーケンブリッジ式ファシリテーション』書籍紹介(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様HP)

『プロジェクトを変える12の知恵ーケンブリッジ式ファシリテーション』(amazon)