不可能を可能に変えるリーダーシップ -バラバラな組織をまとめ、目標を達成させたマネジメント

組織マネジメント

新しく再編された組織に配属されて、どのようにリーダーシップをとっていけば良いのかお悩みの方は、映画「インビクタス/負けざる者たち」をご覧ください。バラバラな組織をまとめ上げ、目標を達成させたマネジメント手法を学べます。

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《あらすじ》

ネルソン・マンデラ大統領の不屈の魂を描く、真実の物語。
「スポーツには世界を変える力がある。人々にインスピレーションを与え、団結させる力があるのだ。ほかの何かには、まずできない方法で。」― ネルソン・マンデラ

南アフリカの大統領だったと言えば、遠い存在だと思うだろうか。けれども、彼の起こした“奇跡”に触れれば、あなたの中で、きっと何かが変わる――。それは、1995年のこと。

マンデラはラグビーのワールドカップで、国の恥とまで言われた南ア代表チームを初出場初優勝へと導いた。そして、その勝利の瞬間、一国の歴史が永遠に変わってしまったのだ。

いったい彼はどうやって、この偉業を成し遂げたのか――?「インビクタス」 とは、マンデラが投獄中に心の支えにした詩の題名で、ラテン語で“征服されない”の意味。

南アフリカ初の黒人指導者となったマンデラ大統領は、白人と黒人との分断政策「アパルトヘイト」を撤廃しました。しかし、両者の断裂と根深い差別意識は、新政権の官僚組織、警察機構、国家のありとあらゆる所に残っていました。

マンデラ大統領は、両者の深い対立を克服するため、当時主催国として出場権があった「ラグビーワールドカップ」を利用して、黒人と白人の共存と融和を掲げた「虹の国」と呼ぶ理想の国作りを目指します。

本作は、憎しみ合いいつ内戦が勃発してもおかしくない位バラバラだった組織をまとめ上げた、ネルソン・マンデラ氏のリーダーシップを学ぶことができます。

平等の貫徹こそ組織再編のカギ

36_(3).jpg南アフリカ代表ラグビーチーム、通称「スプリングボクス」は1995年当時低迷期にあり、黒人選手もわずか1人という状況でした。しかも、ラグビーは「白人がするスポーツ」として、アパルトヘイトの象徴と捉えられ、国民の大多数を占める黒人には非常に不人気なスポーツでした。

このような状況下において、マンデラ大統領が率いる新政府内でも「スプリングボクス」のチーム名やユニフォームの変更を求める意見が多数を占めており、一時はその方向で決まりかけていました。

しかし氏は、このチームが南アフリカの白人と黒人の和解と団結の象徴になると考え、チーム名とユニフォームの存続を求め周囲を説得しました。一方で、白人であり、チームの大黒柱であった主将フランソワ・ピナールを茶会に招き、言葉を交わし激励します。

このシーンは、組織再編の際には何が大切かという問題を提起しています。

組織を合併再編する際には、パワーバランスの高い側にとって優位な案を、押しつけるのではなく、平等を貫徹することが重要です。これによって、パワーバランスの低い側の反発を和らげ、モチベーションを維持できるからです

映画では、伝統的なチーム名とチームカラーを存続することで、旧体制側だった白人たちの不満や反発を抑えることができました。

これを、ビジネスに置き換えて考えるならば、両者が持つ組織の伝統やローカルルール、文化を尊重すべきということです。

合併の成功例として有名なのが、山之内製薬と藤沢薬品の合併で2005年に誕生したアステラス製薬の例です。両社が合併する際に、最も心を砕いたのが「人の融合」だったといわれています。

名目上は対等合併をうたっていても、両者には必ず歴史や資本力、事業規模に差が生じています。強い者が奢り、弱者は必死の思いで椅子の奪い合いをするのが歴史の常ですが、同社はこれから脱却するために、統合準備中に経営トップ自らが社内に「統合7原則」を打ち出しました。その一つとして「人事は能力に基づき、公正にして適材適所に徹すること」を掲げました。

国家、企業、スポーツチーム、どのような組織にとっても合併・再編成は困難なプロジェクトです。我々は歴史と先人の成功例にならい、平等であるべきでしょう。

ビジョンはアツいうちに現場に届けよ

36_(5).jpg「君のリーダーとしての哲学は何かね?」

ラグビー代表チーム主将フランソワを呼び出し、マンデラはこう問います。

「自らが手本を見せて、メンバーを導く事です。」
と主将が返すと、氏はそれに同意しますが、一層深い答えを求めていました。

マンデラは続けて「リーダーとは一見不可能と思われるもの達成するために、無理な賭けに出ているメンバーにインスピレーションを与えなければならない」と言い。ラテン語で「不屈」「死ぬまで屈服しない」という意味の「インビクタス」という詩を伝えます。

これに感銘を受けた主将フランソワは、このマンデラの強い思いをチームメンバーに伝えるために、氏が27年間投獄されていた独房をチームメイトと共に訪れ、この大会に対する国民の期待や大統領の思いを伝えました。また、新国歌を暗唱すること、黒人少年達にラグビーを教えるボランティア活動を行うことをチームメイトに提案し実行しました。

大会での前評判は良くなかったものの、代表チームの健闘が黒人にも受け入れられ応援する観客の数も増えていきます。チームは期待に答え、実力以上の力を発揮してワールドカップの決勝戦まで勝ち上がります。

このシーンは私たちに、「リーダーはメンバーに対して、自分の思いをどのように伝えるべきか」という気づきを与えてくれます。

リーダーは映画のエピソードにもあるように、メンバーにインスピレーションを与えられるようなビジョンを提示して、組織に浸透させなければなりません。

ビジネスでも、トップの経営理念が組織の末端にまで浸透していないと、メンバー各自に当事者意識が芽生えず、自律的な行動が望めません

組織においてビジョンが浸透していない、と感じた場合には、現状とのギャップを測定した上で、ギャップを埋めるために何が必要かを特定し、計画を立てて実行すべきです。

もし、ビジョンの浸透度が低いならば、ワークショップや表彰式などのイベントやビジョンブック、ビジョンムービーなどを活用して対策と改善を図りましょう。

昨日の敵は今日の友 共通の敵が組織を強くする

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このラグビーワールドカップ南アフリカ大会の際も、白人と黒人の根深い溝が原因の緊張関係は続いており、些細なきっかけでいつ白人と黒人の間で内戦が始まってもおかしくありませんでした。そこでマンデラは、ラグビーワールドカップを国家間の疑似戦争に見立て、国民を一致団結させることに成功しました。

バラバラな集団を組織として団結させるためには、どうしたら良いかの答えがここにあります。

秩序やまとまりが破綻した組織を立て直すには「共通の敵」をつくるということです。組織は追い詰められた時に、敵対心をあおり競争意識をくすぐると団結しやすくなるからです。これは社会心理学的にも認められています。

例えば、同業界で規模が同じくらいの競合会社を分かりやすい「共通の敵」として社員に強く認識させることです。その際に相手の強みや弱みを認識し、自社の売りを押さえてもらうことが重要です。

まとめ

憎しみ合っていた国民を団結させるために、ラグビーワールドカップを利用して、結果優勝してしまうというストーリーは、出来すぎていていますが、これは実際にあった物語です。

この映画は、国を再建した偉大な指導者が主人公のスポーツドラマですが、マネージャーや管理職者が観るべきリーダシップ指南書にもなっております。社会派ドラマとしても見るべき価値のある作品になっております。

参考文献

インビクタス/負けざる者たち(wikipedia)

Two Leadership Lessons from "Invictus"(Minding Gaps)

ビジョンを打ち出し、組織に浸透させる3つのステップ(berlitz-globalblog)