部下が変わる。マネージャーが大切にすべき3つの原則

組織マネジメント

部下の能力がうまく伸びない、指示に従ってくれない、ミスをくりかえして改善がみられない、など部下をマネジメントする上での悩みは尽きません。

そんな悩みを抱えている方におすすめな書籍が「人を動かす(著)D・カーネギー」です。この本を読み込む事で、組織で成果を上げるために必要不可欠な、相手に好かれる方法、相手を自分に引き込む方法、相手の考え方を変える方法を学ぶことができます。

《作品紹介》

あらゆる自己啓発本の原点とも言うべき本書は、1937年に初版が発行されると瞬く間にベストセラーとなり、累計で1,500万部を売り上げた。『How to Win Friends and Influence People』は初版の発売当時と同じように今日でも十分通用する内容となっているが、その理由は、著者のデール・カーネギーが決して変わり得ない人間の本質を理解していたからに他ならない。


著者の信ずるところによれば、経済的成功の15パーセントは専門的知識から生み出されるが、残りの85パーセントは「考えを表現する能力、リーダーシップをとる能力、そして人々の熱意を引き出す能力」によるものとなる。
人と接する際の基本的な原則を基に、自分が重要視され、評価されていると相手に感じさせるようなスキルを教示する。また、操られていると相手に感じさせないようにしながらつき合う基本的な手法にも重点を置いている。(Joan Price, Amazon.com)

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「人を動かす」は発売から70年経っても売れ続けているビジネス実用書です。いまだに売れ続けているのは、発売から時代を経た現代でも通用する学びが十分にあるからこそだと言えるでしょう。

また本書は、ビジネスだけではなく、家族や人生にいたるまで、おおよその人間関係について、本質的なアドバイスと具体的な事例が取り上げられています。

特に『人を動かす三原則』というパートには、本書の核となる「いつの時代も変わらぬ人間の本質」についての情報が凝縮されています。そこで、本記事では導入部分である『人を動かす三原則』に絞って論じていきたいと思います。


相手を認めるが同じ土俵では戦うな。現状を論理的に分析し対処せよ~盗人にも五分の理を認めよ

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『カポネほどの極悪人でも、自分では、悪人だと思っていなかった。
およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。

相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということを良く心得ておかねばならない。』

これは、『人を動かす三原則』のうちの一つである「盗人にも五分の理を認める」という話の一節です。

この文章からわかるのは、どのような人物でも人にはその人なりの思考があり、時にあなたが考えられないような理由で自己を正当化してしまう場合もあるということです。

部下が何か失敗した時に、感情に身を任せて部下のミスを責めても時間の無駄です。
その時部下はあなたの指摘を受け入れ、業務が改善するでしょうか?筆者はそう思いません。失敗をした部下にも必ず言い分があるからです。

マネジメントを担うあなたが、部下が失敗した場合にまず行うべきことは、部下の言い分を黙って聞いてあげることです。そして、ミスが起きた原因は何なのかを業務工程から探し出し、どのようにしたらそのミスを減らすことができるか検討することです。部下の言い分に理解を示しつつも、論理的に検討した案を持ち部下へ指摘を行うことで、部下の感情に捉われない効果的な改善が期待できるでしょう。

お世辞はいらない、感動を伝えよ~率直で、誠実な評価を与える

31_(1).jpg自己の重要感に対する欲求は、人間を動物から区別している主たる人間の特性である。』

『お世辞と感嘆の言葉とは、どう違うか? 答えは、簡単である。後者は真実であり、前者は真実でない。後者は心から出るが、前者は口から出る。後者は没我的で、前者は利己的である。後者は誰からも喜ばれ、前者は誰からも嫌われる。』

続いて、『人を動かす三原則』のうちの一つである「率直で、誠実な評価を与える」という話の一節をご紹介します。

この文章は、人は自分が重要な存在と認められることが、モチベーションの源泉となっているが、うわすべりした言葉で人を動かすことは出来ないことを言い表しています。

部下が成功した時には、正当な賞賛をすべきです。正当な賞賛とは、賞賛理由が賞賛に値する客観的理由を持ちあわせていること。そして、公平な評価による賞賛であることです。

今後、将来的に部下になる可能性が高い、日本の新人社会人世代(15~29才)は、同時調査した他国6か国に比べて、自己評価が低く、うまくいくか分からないことに対しては、意欲的に取り組むという意識が低いという調査結果が出てます。(特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~平成26年度内閣府調査)

つまらないと思ったら、やる気が出ないと感じるのが多いのも、この世代です。このような世代へのマネジメントでは彼らがもたらした結果に対して、正当な賞賛を行うことが仕事や業務に対するモチベーション向上において重要です。

言うまでもないことかもしれませんが、「ほめ言葉」と「お世辞」は全く性質が違うものです。この事を意識して使わないと、部下からの信頼を失ってしまいます。具体的な成果を賞賛することが「ほめる」ということです。

例えば、「君は今回、良い働きをしたね。」と簡潔に「ほめる」のではなく、「今回の案件での、君の丁寧なリサーチと資料が、プロジェクトのプレゼンに役に立ったよ。特に〇〇のところが良くできていたよ。」と可能な限り評価ができる詳細に触れることです。

また、男女によって「ほめる」部分を変えてあげると、より効果的でしょう。近年の脳科学によると、男性は数字で表せるような、結果や成果を重視して褒めると効果的です。一方で女性は、上記例のように、過程を重視して褒めると効果的であるという研究結果が出ています。

馬を水辺に連れていくことは出来ても、水を飲ませることはできない~強い欲求を起こさせる

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『自分の息子に煙草を吸わせたくないと思えば、説教はいけない。自分の希望を述べることもいけない。煙草を吸う者は野球の選手になりたくてもなれず、百メートル競走に勝ちたくても勝てないということを説明してやるのだ。』

最後に『人を動かす三原則』のうちの三つ目にあたる「強い欲求を起こさせる」という話の一節をご紹介します。

これは、人から言われた意見では所詮ヒトゴトで動かない。人が動くのは問題をジブンゴトとして捉えた時というのを言い表しています。

部下の行動を注意する時には、彼らが仕事を通じて得たい目的を理解し、その目的と行為とのギャップを明らかにする論理的な説明をすべきです。

部下の仕事や業務についての理解度は、上司であるあなたのそれ以下です。また、部下には部下なりの価値観があり、その価値観はあなたとは当然違ってきます。

価値観が違う中で、目先のタスクや、あなたの考えを伝えても、部下には伝わらないどころか、口うるさい上司として部下は離れて行ってしまうでしょう。相手の価値観に基づいたフィードバックを与えることは、部下にとっての必然性を生み出すことができます。

その結果、部下は与えられた仕事や業務を「自分ゴト」として取組み始めることが可能になり、成長に向けて歩み始めるでしょう。

例えば、マーケティング部門で商品開発に携わることを目的としている新人が営業部にいて、日々の活動におけるモチベーションが上がらない場合は、彼と話す機会をもって、次のように語りかけてみましよう。

「営業部である以上、受注もあれば失注もあるよね。しかし、結果がどうあれ、営業担当は顧客から、その理由を直接聞くことができる。新商品を生み出す商品開発では、顧客が何を求めているのか分からなければ、顧客を無視した技術先行型の、頭でっかちの商品を作ってしまうかもしれない。君の今の経験は、その顧客の声を直接聞く、絶好の機会じゃないか?」

上記のような指導法を心がければ、部下の働き方は変わってくるはずです。

まとめ

原題は「How to Win Friends and Influence People」となっていますが、内容をから推測すると、この「Win Friends」という部分は「友人に勝つ」ではなく「友人を勝ち取る」という意味でしょう。

多くの敵に勝つのではなく、より多くの味方を作ることが、良い人間関係を作り出し、ビジネスでも成功できるという教えが、本書にはあります。

この本を読んで、部下への対応、チームビルディング、などの実務に臨まれてはいかがでしょうか?

参考文献

人を動かす(wikipedia)

特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~(内閣府)

ほめるコーチング(ホームメイト)

『男』と『女』で 効果的な褒め方は違う!?(仕業のミカタ)