3ステップで実践!「やり抜く組織」を実現する「グリット」の育て方

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グーグルが採用基準に「グリット」を取り入れ始めました。マイクロソフトのビルゲイツやフェイスブックのマークザッカーバーグも、グリットを重要視し講演でも言及しています。

世界の最先端企業が注目する“グリット”とはなんでしょうか?

本記事では、今、企業から教育機関に至る様々な業界が注目する「グリット」の意義と、社員や部下に「グリット」を発揮してもらうための方法論に迫ります。

世界のトップ企業、ビジネスマン、リーダーが注目する能力「グリット」

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「グリット」とは「やり抜く力=情熱と忍耐力」を指す、心理学の専門用語です。

「グリット」の主要な提唱者であるペンシルバニア大学心理学教授アンジェラ・ダックワース氏は、ハーバード大学(神経生物学)を卒業後、マッキンゼー社にて経営コンサルタントに従事された後、公立中学校の数学教師になりました。

子ども達を教えていく中で、ダックワース氏は、学習態度と成績の関係性に注目します。それは「成功者に必要な能力はIQや才能ではなく、グリット(やり抜く力=情熱と忍耐力)にある」という発見でした。

その後大学で心理学を学び直し、「グリット」の研究を進めたダックワース氏は、優秀な人材の新定義としてやりぬく力を強く提唱し、世界をリードする名だたる企業がグリットを採用基準に追加するようになったのです。

勿論、やり抜く力には個人差が存在しますが、グリットは今からでも伸ばすことのできる能力です。

以下では、部下や社員のグリットを伸ばすためのヒントを紹介します。

やり抜く力を体系的に伸ばす3つのステップ

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やり抜く力は、子どもだけではなく、大人も伸ばせる能力です。むしろ、年齢を重ねる毎にやり抜く力は強くなっていくというデータも存在するのです。

やり抜く力を伸ばすためには、意図的な練習を繰り返すことが必要不可欠です。また、ただ単に時間をかければ良いという訳ではなく、どれだけ集中して質の高い取り組みを行ったかが重要です。

チームメイトのグリットを効果的に高めたい際には、必ず以下の3ステップに注力しましょう

1. ある1点を絞って、限界より高めの目標を立てる

2. 集中して目標に取り組み、随時チームでフィードバックする。

3. 改善点が判明したら、何度も繰り返し目標に取り組む。

単純な方法だと思われるかも知れませんが、これがグリットを伸ばす有効な方法です。

1つ目のステップで重要なのは、自分より少し高めの目標を、1点に絞って設定する事です。

例えば、WEBサイトの改善担当者にはPV数、CV数、滞在率など様々な目標値が存在しますが、彼もしくは彼女のグリット力を育てたい場合には、複数のKPIを均等に重要視するのではなく、改善施策実行に直結する最重要KPIを設定してあげるのが良いでしょう。

2つ目のステップで重要なのは、目標をしっかりと達成できるように、上司や同僚として周囲がしっかりとサポートを提供することです。

「自分の限界よりも少し高い目標」を達成することは容易いことではありません。そのモチベーションを保つには、「大変だけれども、楽しい」、「期待されてるから頑張る」、「このチームの為にやり抜こう」と、本人に情熱を感じてもらう事が大切です。

例えばチームで定期的に短いミーティングを設定し、グリットを伸ばしてあげたい部下や同僚の目標に対する進捗状況について、全体でフィードバックの時間を設けるなどの施策はとても効果的です。一人じゃないと実感してもらうことで、辛い時も諦めない忍耐力が身につくはずです。

上司や同僚として、ステップ1と2を支援することが出来れば、グリット成長の成否は概ね個人の努力にかかっていると言えるでしょう。

「偉大な選手は偉大なチームで生まれる」-エンゲージメントを強くする環境作りー

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上記の3ステップを通じて、チーム一丸となって目標を達成する事に喜びや楽しさを見出すことができれば、逆境に直面した時、粘り強く頑張ることが可能になります。効果的にグリットを伸ばすためには、チームで取り組むことが非常に大切なのです。

また、これからの優良企業の条件は優秀な人材を育成するだけではなく、優秀な人材を如何に引き留めておけるかどうかという点も大事になってきます。

やり抜く力を伸ばせる会社では、部下や同僚のミスに対しても、ただ叱りつけるだけではなく、「今回のミスで学ぶところは何だと思う?」、「チームとして、今回のケースに対応するにはどうしたらよいか?」といった活発なエンゲージメント向上につながる議論が日常的に生まれます。これらによって組織の結び付きはより強固に変わり、人材の流出防止が期待できるでしょう。

どんな一流プレイヤーも若手の頃は完璧だったはずはありません。厳しくかつ、根拠をもって選手を育成する監督やコーチの元についてこそ、初めて選手はチームの為に懇親的に情熱を持って働くようになるのです。

グリットの強い個人、組織の成長には、自助努力を惜しまない個人と、それをサポートする環境のそれぞれが不可欠であることを確実に理解した上で強化に努めましょう。

グリットでエンゲージメント向上

「やりぬく力」は「情熱」と「粘り強さ」の2要素から構成され、「情熱」は目標に対してひたむきに取り組む事、「粘り強さ」は困難や挫折を経験してもあきらめずに努力し続ける事を指しています。

このような人材を育み、社内に留めるための制度や環境が、これからの優良企業に求められています。就業環境を整え、社内エンゲージメントを高める事で、組織のやりぬく力、並びに企業価値の向上を目指しましょう。

参考文献

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

アンジェラ・ダックワース (著), 神崎 朗子 (翻訳)ダイヤモンド社

We Have an Engagement Crisis, not a "Grit" Deficit(INSIDE HIGHER ED)

Grit and Work Engagement: A Cross-Sectional Study(PubMed Central®)