インセンティブデザイン −鼻先にぶら下げた人参は、目的地を知らない

組織マネジメント

社員にやる気を出してもらうために、モチベーションの源泉として、インセンティブイベントやインセンティブ制度を取り入れる企業は数多くあります。しかし、その実態として、一部の優秀な社員を表彰して褒賞を与えることに留まっています。

これらの施策は、果たして「インセンティブ=人の意欲を引き出すために、外部から与える刺激」という本来の目的にあっているのでしょうか?

本稿では、社員のモチベーション管理に不安を抱く組織に向けて、インセンティブのデザインを考えます。

One for All, All for One

27_(4).jpgインセンティブで社員を釣ることは、正しいモチベーション管理方法なのでしょうか?

インセンティブと聞くと、働く目的をお金に変えるようなイメージがあります。しかし、筆者は適切にデザインされたインセンティブ制度は、個人と企業両方を成長させると考えています。適切なインセンティブプランを立てることで、従業員を組織目標に結び付ける事が可能になるからです。

もう少し具体的に言うなら、インセンティブ制度を正しくデザインすることで、従業員が働く目的を明確にし、働き方を適度にコントロールすることができるので、従業員のゴールと組織のゴールを一致させることができるからです。

イベントや報償制度といった「インセンティブ」そのものを見直すことで、上手く機能していなかったインセンティブの本来の意義、「組織と個人両方の成長」促すことが出来るようになります。

インセンティブプランを設計するための原則

27_(3).jpg実際に、どのようにして「インセンティブ」を設計していけば良いのか、デザインの原則を見て行きましょう。

焦点は何か定義する

まず、目的を達成する為の最優先事項を定義します。

「あなたの組織の目的は何なのか?」これを明確に定義する必要があります。

「利益を上げるため・顧客に最高のサービスをするため・革新的な製品をつくり、より良い社会を構築するため」など、組織としての目的は業種・職種・業界により、様々ありますが、その実現のためには、何を最優先にして、数値化してKPIとすれば良いのかを定義しましょう。

現状からの変化にフォーカスする

目標とKPIが決まったら、現状を認識して、次にすべきアクションを考えます。

次のアクションを決めるためには、組織がどのような状況にあるのかを認識する必要があります。簡単なようで、実は、自社の経営状態を把握している経営者は多くはありません。

決算書からの現状把握から、「売上を上げるべきなのか、粗利益率の改善が必要なのか、不要な経費ないのか、借入金増加の原因は何か、投資の見直しは必要か、プロジェクトから撤退すべきか。」などを検討し、改善していかなければなりません。自社の現状を正しく理解せずに、変化を生むことなどできるわけはありません。

また、これはインセンティブを通じて奨励するアクションにも当てはまります。現状で社員が出来ることではなく、彼らが将来すべきことにインセンティブを与えることが重要です

結果と目的を区別する

現状からの変化にフォーカスするだけでなく、結果につながる行動に焦点を当てましょう。

結果と目的を区別する事が、マーケティングや投資の行動原理に求められています。

この2つの定義を再確認してみましょう。結果は売上、利益、株価、賞賛などの自社の収穫物で、一方で、目的は、感動、価値の提供、応援、手助けといった顧客の収穫物になります。

結果とは目的を成し得た成果物です。換言すれば、顧客の満足度の結果が、売上につながっていくということです。自社の収穫物を指標とするのではなく、顧客の収穫物を指標とするべきです。計画を達成するためには、顧客が満足する施策を考えなければなりません。

インセンティブデザインに必要な要素

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インセンティブデザインするというと仰々しいですが、その要素は、以下の3つに絞られます。

1. 何をもって従業員を測定するか

経営者として、従業員の能力と責任の範囲を見極めて、彼らがとるべき行動を指し示す必要があります。もちろん、従業員が納得する指標でなければ、インセンティブは成立しません。

2. 実際に従業員を測定する

社員を適切に評価・測定するために、指標を設定しましょう。また、確実に成果をトラッキングできる仕組みを作りましょう。

社員それぞれに合った、KPI、マイルストーン、タスクを設定しましょう。与えたタスクの成果を把握できるような、IT・WEB管理ツールは数多く公開されています。目的にあったツールを選び活用してみましょう。

3. 測定結果にどう応えるか

顧客、従業員、株主。ステークホルダー(全てにとって価値を創り出すインセンティブを与えましょう。

経営陣に対して、ステークホルダーから誤解を受けてしまうような、過剰なインセンティブが支払われていないかをチェックし、ストック・オプション、株主還元などを通じて、全ステークホルダーに利益を還元出来る仕組みを構築しましょう。

正しいインセンティブプランか判断する5つのポイント

27_(2).jpg最後に、これらを考慮した上で設計した計画が、本当に正しく機能するかのチェックポイントを提示致します。

1. このプランは私達が提供したい顧客体験に貢献するか?
2. この計画は事業目標に貢献するか?
3. この制度は、従業員にとっての公平な利益につながっているか?
4. 私達は雇用主としてこの計画を実行できるか?
5. 私たちに計画を実行する資金があるか、それを調達できるか?

まとめ

組織が成長するためには、経営者と従業員の違いに着目し、後者の気持ちに立って考えることが重要です。インセンティブは、成長戦略の要です。これらのポイントを踏まえ、正しい「インセンティブプラン」をデザインして、組織運営に活用して頂ければ幸いです。

参考文献

What is Incentive Design?(Editor of Redefining Direction)

自社の現状把握(経営改善計画書.com)

行動原理は結果と目的を区別するということ(fashion journal)

「タスク管理」をもっとラクに!ツール9選&活用事例・使い方【23記事まとめ】(SELCK)