−弱い紐帯−「コネを自慢する奴」をバカにしてはいけない

Engage+

「弱い紐帯の強み」という言葉をお聞きしたことがあるでしょうか?

「紐帯」は、「ちゅうたい」と読みます。この意味をご存知の方は少ないかもしれません。

本記事では、企業イベントを通じて、社内外の結びつきを深化させることを目指す『ニューズベース』の観点から、この『弱い紐帯』を考察していきます。

弱い紐帯の強さとは何か?

25_(4).jpg

『弱い紐帯の強さ』とは、米国の社会学者マーク・グラノヴェッターが発表した社会的ネットワークに関する学説です。

紐帯とは、二つのものを結びつけて、つながりを持たせるヒモや帯のことをいいます。

グラノヴェッターは、“社会的に緊密につながった人より、弱いつながりの人の方が有益で新規性の高い情報をもたらしてくれる可能性が高い”という学説を唱えました。自分の所属する集団(クラスタ)の内外のハブとなる「緩いつながりを持つ存在」を、「弱い紐帯」と定義付けています。

家族や職場のつながりは「強い紐帯」に分類され、接触回数・時間・情報交換頻度が多い関係性にあります。一方で、「弱い紐帯」はその逆で、ちょっとした知り合いとの関係性を表しています。

同じテーマや興味、目的をもっている場合、密なコミュニケーションをとっていない人から、新規性のある多様な情報が得られやすい。同じ業種、同年代では得られない知見が得られやすいという説です。

具体的に言うと、ネット上のSNSのコミュニケーションで生まれやすいのが『弱い紐帯』です

例えば、知りたい情報があった場合、Twitterでの同属クラスタに向かって、「~に詳しい人教えて下さい/~に強い人を探しています」というように質問すると、検索エンジンで調べるよりも分かりやすく、丁寧な答えが返ってくる経験がある人は多いのではないでしょうか。

新しい情報、技術、関係性が得られる

25_(5).jpg「弱い紐帯」は多くの面でメリットがあり、企業は、低リスクで実践しやすい「弱い紐帯」を使って、採用効率化、創造性、革新性の向上を図ることが可能です。

低リスク

人と人、人と組織、組織と組織に交流をうながし、「弱い結びつきを形成する」という方法は、相対的に安価で、かつ、容易に試すことが出来きます。

イノベーション機会増

新しい技術、サービス、製品は、普段、自分が属しているグループの外側(ニュークラスタ)とつながる事によってもたらされます。

例えば、ITとタクシーを組み合わせたUber。アメリカの菓子製造機械と日本の駄菓子を組み合わせたうまい棒、青カビと培養・精製技術を合わせたペニシリンなど、多様な例が存在します。

採用効率アップ

リファラル採用も、弱い紐帯を活用した組織力向上の例の一つです。

様々な調査において、それほど親しくない知人からの紹介の方が、採用率が高いという調査結果が出ています。海外ではかねてよりリンクドインやフェイスブックによるリファラル採用が活発化してきましたが、日本でも、WantedlyRefcomSCOUTERが弱い紐帯を活かした採用サービスを展開しています。

単純に、それほど親しくない知人とかなり親しい友人では、絶対数が前者の方が多いという理由もありますが、親しい友人の場合、転職が失敗した時のリスクを恐れ、気軽に紹介できないということも大きな理由です。また、知人レベルの場合、転職者の弱みを知らないことが多いのもその理由でしょう。

あなたの職場に弱い紐帯は存在するか?

25_(3).jpg

日本国内でも、ミートアップや異業種交流会はよく見かけるようになりました。
しかし、社内の交流に目を向けてみると、社内ではすでに「弱い紐帯」が生まれていると考え、イノベーションができる土台が出来ているように思っている企業が多いのが実情です。

果たして、本当にそうなのでしょうか?

オウチーノ総研による「職場の働きにくさ」調査では、割合が最も高かった20.7%の人が「人間関係や社内の雰囲気が悪い」と答えています。この数字には、多くの日本の組織において、「強い紐帯」はおろか、「弱い紐帯」ができていない事が表れています。

日本企業は、職場内に「弱い紐帯」を作らなければいけません。

弱い紐帯とイベントの親和性

25_(1).jpg

「弱い紐帯」を作る上で、リアルなイベントがネットより有利な点が2つあります。

一つは、リアルなイベント参加は一定のアクションを要することから、よりテーマに対する意識が高く、熱量が高いクラスタを集められる点です。二点目は、物理的に同じ空間と時間を共有し、直接的に交流ができるという点です。

イベントの場合、テーマを設定して告知を行い、集客をします。わざわざ会場に足を運ぶという「障壁」は、中途半端にしか熱意のない人々を切り捨てる効果があります。

さらに、プレゼンやピッチバトル、展示、懇親会など、様々な形式で直接的にコミュニケーションを深められることから、交流を活発に刺激することができるのです。

上記の理由から、イベントは、弱い紐帯を創出する上で非常に有効な手段と言えるでしょう。

イベントによる弱い紐帯の作り方

社外交流イベント

「イベント」を主催することで、自分の「関心領域」に興味を持つ人たち、すなわち“クラスタ”を業界や企業にこだわらず集めて、「弱い紐帯」をキュレーションします。

イベントを創ることで、ネットにでは出来ない、“リアルな弱い紐帯ネットワーク”を創造します。近年ではIT勉強会、異業種交流会、フューチャーセンター等のイベントが盛んに行われています。

社内での弱い紐帯の作り方

最も分かりやすいところでは、「社内ミートアップ=非公式のイベント、集まり」の開催が挙げられます。

他にも、自身が弱い紐帯になってみるという考え方もあります。組織内の閉鎖的環境にある「強い紐帯」をつなげていく“ハブ”と化すのです。

他部署の人とランチしたり、飲み会を設定する簡単な方法から始めると良いでしょう。または、共通趣味で集まってみるのも良いでしょう。ニッチな趣味や趣向の方が、予期せぬ組み合わせになって、面白いつながりが出来るかもれません。

弱い紐帯をつなげ

25_(6).jpg
弱い紐帯を組織内に作りだすことで、新しい情報、技術、関係性がもたらされ、革新的な製品、サービス、技術が生み出される土台を創出できます。

また、脳内にてシナプスの連結が増えて、情報処理速度が高まり、脳機能が向上するように、弱い紐帯を作り出すことで、社内でのつながりが増えれば、組織能力が高まっていくでしょう。

今後のAI、IoTの発達に伴い、労働の効率化が進み、人間労働だった仕事の自動化・代行化が進めば、働き方は大きく変わります。それは人と人とのつながりを希薄化させてしまうかもしれません。

一方で、ARやVR技術の発達により、物理的、情報的に、人とのつながりは限りなく広がるはずです。筆者は、将来的には、ネットとリアルの境界がなくなり、人と人との接触回数・時間・情報交換頻度は増えていき、弱い紐帯の強みは、ますます顕在化するのではないかと考えます。

こうした将来の変化を考慮して、今こそ企業は社内外での“弱い紐帯の強み”を活用した経営戦略を練っていかねばなりません。

参考文献

弱い紐帯の強さ(明日につながる基礎知識)

LinkedIn on the Power of Weak Ties - Implications for Coworking & Freelancers(Small Business Labs)

【調査】7割の社会人が、今の職場は「働きやすい」と回答!「働きやすい」職場とは?(オウチーノ総研)

フューチャーセンター「future center」(wikipedia)