経営者とは、正しい質問をする人である。

組織マネジメント

あなたの会社の組織改善の為には、従業員の声を集めることが重要です。
上流の管理者には見えない現場の声から貴重な意見や提案を貰えるからです。

しかし、カイゼンにつながるような良い答えを引き出すには、それに伴った良い質問をしなければなりません。

1980年代に活躍した構造主義の祖レヴィ=ストロースが言った「科学者とは、正しい答えを与える人ではない。正しい質問をする人だ。」という言葉にならうならば、上司は、論理的な考証から、課題を発見して、それを科学的に解決していかなければなりません。

本記事では、KnowYourCompanyという社内エンゲージメント向上を専門とする企業が、15カ国以上で3oo社15,000人以上の従業員に調査してきた独自の経験から編み出した、改善につながる意見を抽出するための質問を、日本企業視点でご紹介します。

22_(1).jpg

「仕事をしていて不安なことはある?」

KnowYourCompanyの調査によると、この質問に対して、従業員の67%が「不安なことがある」と答えています。
社員が安心して職務を遂行できるように、上長は、彼らが不安に感じている点を明らかにすることが重要です。

「この前の仕事は、あのやり方で良かったのだろうか?」と言った些細な声から、部下の職場環境や職務に対する満足度が分かる場合もあります。不安を打ち明けてもらう事で、信頼関係もより深まり、今後の業務にも良い影響を与えることができるでしょう。

「ウチで試してみたい施策はある?」

調査によると、75%がこの質問に「ある。」と答えています。より、現場に近い社員の方が、業界の動向や、新しい施策・手法に詳しい場合があります。

競合他社が新しく始めたキャンペーン、マーケティング手法、新製品についての考えを部下から聞き出せるかもしれません。

部下から、今手がけているプロジェクトを改善する直接的なアイディアを得られる可能性もありますが、その手法が、自社の目的に合ったものなのかという、管理職者独自の中長期的な視点からアドバイスを与えれば、より良い業務改善につながるでしょう。

22_(5).jpg

「今は測ってないけど、KPIとして追っていくべき指標はある?」

78%の従業員が「ある」と答えています。この質問は、現場で働く社員と管理職の間に、成功へのプロセスに対する考えのギャップがないかを明らかにします。目標と目的がチームで共有できているということを大前提に、何がその達成に必要なのかについても確実に意識をすり合わせましょう、

「社内に君がもっと関わりたいと思っている部署はある?」

この質問には81%の従業員が「ある」と答えており、KnowYourCompany社が調査した従業員の圧倒的多数は、社内のポジションにある種の欲求不満を感じていることを示しています。もっと関わりを設けたい部署や事務所を訪ねることで、彼らの社内エンゲージメントを深めるだけでなく、新たな交流が事業の種につながることも期待できます。

22_(2).jpg

「ウチにはない福利厚生で、今一番欲しいものは?」

「あったら嬉しい福利厚生制度がある。」と答える社員は、全体の76%もいます。

管理職であるあなたは、「従業員は、より多くの福利厚生を望んでいるに決まっている」と考えるかもしれませんが、この質問で明らかになるのは、従業員が「どのようなメリットを会社に求めているか」です。

「育児」、「ワーク・ライフ・バランス」、「もっと稼ぎたい」といった各個人のテーマを明確にして、社内であまり活用されていなかった福利厚生を見直せば、離職率も下がり、社員にとってより魅力的な組織が形成されるはずです。

「今のポジション以外で会社に貢献できると思うポストはある?」

「この部下にもう伸び代はないな、アタマ打ちだ。」と考えている管理職者にとっては、この質問を投げかけることで意外な答えが貰えるかもしれません。

76%がこの質問に対して「ある」と答えており、より深い議論を設ければ、あなたの部下が、ビジネスキャリアをより一層深めるための戦略を共に考えることができるでしょう。

22_(3).jpg

「『この人に弟子入りしたい!』って同僚はいる?」

この質問に対しては、92%の社員が「いる。」と答えています。これは、どの社員の社内評価が高いかを調べる為ではなく、「メンターになって欲しい。」と答えている社員が、どのようなスキルを学びたい、伸ばしたいと思っているのかを把握する為の質問になります。

彼らが伸ばしたいと思っているスキルが、部下の特性にあったものなのかを、上長として判断し、成長をうながしていくマネジメントを考えましょう。

「社内で誰も気付いてないけど、素晴らしい仕事をしている人っている?」

この質問を通じて、あなたの会社で過小評価されている社員を見つける事ができます。数字に表れる仕事だけに評価が集まり、それらの仕事を下支えするコミュニケーションなどのソフトスキルがないがしろにされることを防ぐための質問です。

「会社の事で知っておきたい事はある?」

「会社の事で、本来なら知っておくべきはずなのに、実は知らないことがある」という従業員は55%存在しています。

どんな会社にも独自の文化が存在しています。そして、現場の社員こそ、会社のビジョンや企業文化、経営方針などの詳細を知りたいと思っているにもかかわらず、日々の仕事に追われて聞く機会を逃していることも多いのです。

この質問を通じて「なぜこの会社で働くのか」という問いに対する理解が深まれば、その社員が抱えている問題の核の部分に触れられるかもしれません。

飲み会や休憩時間で軽く聞いてみる

今まで、上記の質問を実際に部下に尋ねた事がありましたか?

四半期毎の1対1での面談の時に聞くのも良いですが、部下とたまたま一緒になった時に、気軽な雰囲気で問いかけると、より素直で実直な答えが返ってくるかもれません。

本記事を“カイゼン”につながるマネジメントに生かして頂ければ幸いです。

参考文献

■記事タイトル
The 9 questions that uncover the most surprising insights from employees