企業のカイゼンに必要なのは、正しいフィードバック術だ

組織マネジメント

プロジェクトを振り返り、業務改善のために社員の声を集めたい。しかし、“カイゼン”につながるような、良い意見が出てこなくて困っている。そもそも、意見を言ってくれない社員もいる。

社内で事業を改善するためには、過去の案件を振り返るフィードバックが有効です。しかし、あたりさわりのない意見や建設的とは言えない意見を集めたところで、そんなフィードバックに意味はありません。

本質的に改善を成功させるためには、『発言する事に臆病なっている社員』や、『意見を述べても無駄だと思う社員』から、“正直で建設的な意見”を引き出すことがマネジメント上、必要です。

会社に問題意識や思慮深い考察を持っている彼らこそ、会社の事業改善のヒントの提供者です。彼らから、忌憚のない、実直な意見がなければ、実務レベルで本当に役に立つような、改善策にたどり着くことは困難でしょう。

そのために、意見を引き出したい部下には、どのように声をかければ良いでしょうか?

筆者が愛読する社員エンゲージメント関連文献に基づき、『日本の上司の駄目発言』と合わせて、正しいフィードバック抽出方法をご紹介します。


「今フィードバック欲しいんだけど。」

20_(2).jpgデスクでモクモクと事務作業をしている部下に向かって、「いますぐ、君が担当した先月の案件の改善策を教えて欲しい」と、いきなり話しかけても、部下はびっくりしてシドロモドロになってしまうかもしれません。

管理職者は多忙です。すぐにでも早く答えが欲しいことは分かりますが、部下に考える猶予と、スケジューリングする余裕を持たせてあげましょう。

いきなり話しかけられて、業務改善のような深い話をふられても、ほとんどの部下は面食らってしまいます。彼らの準備する時間も考慮してあげましょう。

「君が常日頃の業務から思い当たる、会社の改善案について、話す機会が欲しいんだけど。今週末は時間ある?」いう聞き方をすると良いでしょう。

「なぜやるかって聞かれると難しいんだけど、とにかく教えてよ。」

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管理職者として、“なぜ”フィードバックを求めているのか、を明確にする必要があります。部下に、このフィードバックの重要性を理解してもらいましょう。

具体的には、「なぜ私が君とフィードバックしたいかというと、君が先月担当した案件で、君が感じた改善点を教えて欲しいんだ。来期目標達成のために、君の意見が欲しい。」、という聞き方をしてみましょう。

「昨日の案件、なんかフィードバックない?」

20_(4).jpg部下にフィードバックを求める時には、具体的で明確に質問をしましょう。具体的な質問をすることで、より明確で意味のある答えが得られます。

「昨日のクライアントとの打ち合わせで、なにかフィードバックある?」と聞かれても、質問が漠然としすぎていて、部下は答えるのが難しいでしょう。

部下は、とっさに頭に浮かばず、思わず「ありません」、と答えてしまいます。
そうではなく、「昨日のクライアントとの打ち合わせが、もっと円滑に進められるような改善点はある?」という聞き方をすると、より有意義な答えが部下から出て来るでしょう。

「君の強みって何?」

20_(5).jpg部下が質問された時に、考えやすいように、「振り返り」の期間を決めてあげると、彼らは筋道を立てて答えを出してくれるでしょう。

例えば、「君の強みってなんだと思う?」という、期間を定めない質問をすれば、よっぽど自信がある部下以外からは、曖昧な答えしか返ってこないでしょう。

こう聞いてみましょう。

「入社して半年間で、最も上手くいったと思う事は何?成功した具体例を教えて欲しい。」

振り返って考える範囲を「半年」や「この一ヶ月」、と期間を定めて聞けば、部下は答えやすいでしょう。


「どうすればよかったと思う?」

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フィードバックを論理的に筋道立てて答えられるように、聞くポイントを一つに絞ると良いでしょう。良き問いは良き答えを導きます。上手に問うことで、上手に考えるコツを掴んでもらいましょう。

「前案件で、我々は、何が改善できたと思う?」と問うのではなく、

「前案件で、我々が改善できる事を“一つ”あげて欲しい」といった問い掛けをすることです。

「俺個人はうまくやれたと思うんだけど」

20_(10).jpg管理者である、あなた自身の苦労や悩んでいる事を吐露して、部下の発言をうながします。これは部下から意見が出てこない時に有効です。

「前案件で、我々が改善できる事を“一つ”あげて欲しい」と問い掛けても、部下から意見が出てこない時は、困っている事を共有してみましょう。

「個人的に俺は、◯◯の点はもっと上手く出来たと思うんだけど、君は、俺の意見に賛成?反対?」と、上司であるあなたの意見に引っ張られないように、部下自身の考えを言って貰えるように聞いてみましょう。


「あの失敗を避けるために何ができた?」

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未来思考からのフィードバックは、創造的で建設的な発想を導きます。反対に過去の視点からフィードバックすると、失敗ばかりが目についてしまい、悲観的でネガティブな意見が出やすくなってしまいます。

「前期でのマーケットシェア拡大の失敗した件だけど、対策として何をすべきだった?」、という質問に対して、「来期目標のために、マーケティング的に改善すべき点は何だと思う?」という問いからは、よりクリエイティブで前向きな発想が出てくるでしょう。

「(腕と脚を組んで、ふんぞり返ったまま) ウンウン」

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あなたが真摯にフィードバックを受け取る姿勢を部下に見せることで、いかに自分がこの場を大切にしているかを態度で示しましょう。

「部下の意見を蔑ろにしている。」

そのつもりがなくても、聞く姿勢や態度から、部下はそう感じとってかもしれません。同じ職場のメンバーとして、敬意を持っていることを示すためにも、手元に手帳を置き、手にペンを持ってフィードバック面談に臨みましょう。


「(否定的な意見に対して) はあ!?なに言ってんのオマエ」

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たとえ、上司や会社と反対意見だとしても、意見が出てきた事にも感謝を伝えることで、意見を出しても無駄だと思っている社員からも、正直な意見を集めやすくなります。

ネガティブな意見はただの批判ではなく、「改善のヒント」でもあることを忘れてはなりません。会社や上司である貴方と意見が対立していても、感謝を示して、誠実な意見が歓迎されていることを証明しましょう。

そうすれば、次回からも心を開いて、率直で貴重な意見を出してくれるでしょう。

部下からネガティブな意見が出たら、「その視点から貴重な意見をありがとう。」または「その意見が聞きたかったよ、ありがとう。」、と感謝を言葉にすることです。部下から意見が出たら、「ありがとう」と言う習慣を身に付けましょう。


「(部下の話を遮って)…でもさ!」

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彼らの発言に耳を傾けましょう。静かに聴き、反駁しないことです。貴方から話を遮ってはいけません。本質的なフィードバックをしたかったら、聴く事が大切です。あなたが聞く姿勢を示さなければ、今後、部下が率直な意見を、あなたに伝えてくる事はないでしょう。

部下が話している時には、意見をうながすように適度に相槌を打ち、フィードバックが終わったら、「君の課題を共有できて良かったよ。君の意見を受け止めて、しっかり時間をかけて今後の事業に反映させよう」と伝えましょう。


「反省も済んだし、今後も頑張りましょう。はい、おしまい!」

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フィードバックを求めても答えや意見がない部下は、「どうせ、意見を出しても無駄だ。」、「自分の考えなんて業務に反映されない。」、と思っていることが多いのです。

だからこそ、確実に部下からのフィードバックに、上司からフォローを返さなくてはなりません。

部下からフィードバックをもらったら、「有益な意見を貰えたので、この件を反映した対策案を、来週末までに持ってくるよ。」と、次回のミーティングの予定を伝えましょう。

すぐに対応できる案であれば「このフィードバックを次のプロジェクトに反映するため、すぐにでも、~を変更してみるよ。」と伝えて、それを実行しましょう。

まとめ

以上の方法を参考にしていただき、部下との円滑なフィードバックが行われ、より良い業務改善案の発案につながれば幸いです。

参考文献

11 ways to get feedback from your most introverted employee(KnowYourCompany)

Tips For Facilitating Productive Critiques(DISCUSSING DESIGN)

7-STEP GAME PLAN FOR RESPONDING TO NEGATIVE EMPLOYEE FEEDBACK (TINYpulse)