PPAP BtoC!? ピコ太郎に学ぶファンを引き付け離さないエンゲージ戦略

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「ペンパイナッポーアポーペン」

一見全く意味を成さないこの暗号ともとれるフレーズが、世界で熱狂を巻き起こしています。

日本発のこのムーブメントは、確かに流行り廃りの早いネットの流行の一つに過ぎないかもしれない一方で、その裏には考え抜かれた「ファンを引き付けて離さないBtoCエンゲージメント戦略」が存在します。

本記事では、なぜ1本の動画が世界の熱狂を誘ったのか、「エンゲージメント」という概念に重きを置いて解説します。


エンゲージメントとは?

本来は「絆、愛着、献身」といった意味ですが、マーケティング用語でいうエンゲージメントは「ブランドと顧客との関係・絆づくり」という意味で語られます。

エンゲージメント効果は一時的、短期的なものではありません。最近ではテレビCMの視聴率やネット広告のインプレッションといった従来の広告指標に代わる新しい定量指標として注目されています。コンバージョン(購買など)に至る「要求:デマンド」を消費者の心理に芽生えさせたどうかを判断基準に、その広告の有効性を測るという考え方です。

例えばFacebookは、「(投稿にいいね!コメント・シェアまたはクリックした人数)÷投稿にリーチした数字」をエンゲージメント率と定義しています。Facebookの企業ページを担当する際は、単なるリーチ数ではなく、投稿のパフォーマンスを的確に表す指標として、このエンゲージメント率を測定し分析することが重要になっています。


2016年最高のエンゲージメントを誇った個人動画「PPAP」

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「ペンパイナッポーアッポーペン」(PPAP)は謎の千葉県出身シンガーソングライター"ピコ太郎"さん(古坂大魔王さんプロデュース)が、YouTube上に発表した動画作品・楽曲です。動画は、ジャスティン・ビーバーが自身のTwitterで「お気に入り」とツイートしたほか、BBCニュース・オンラインやCNNが大々的に取り上げました。

再生回数は、2017年1月30日の時点で 1億回を超え、配信元レコード会社は全世界の動画サイトをまとめると2億回を突破したと報じています。YouTubeの2016年間トレンド動画ランキングで2位となっているだけでなく、「動画ページからの曲の購入」といったコンバージョンにも繋がっています。

なぜ「謎の千葉県出身シンガーソングライター」が、ここまで高いエンゲージメントを世界中で達成できたのでしょうか?

「PPAP」が高エンゲージメントを実現した7つの理由

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① 癖になるメロディ

動画の長さは1分弱なので、ついつい繰り返して動画を見てしまいます。1度聞いてしまうと耳から離れないキャチ―なメロディラインは、ずっと頭の中で鳴り続け、視聴者を惹きつけて離しません。

② 「やってみた」動画の流行を意識

1度動画が流行ると、一般人や有名人が「~をやってみた」という動画を投稿するようになるトレンドがあります。「癖になるキャッチーなメロディ」と「簡単な振り付け」は非常にマネしやすく、「やってみた」動画の人気を促したと言えるでしょう。

【PPAP】トランプ氏の孫娘が歌うPPAPが可愛すぎると話題に(動画)

③ 紹介のしやすさ

サービスでもなんでも、人気を呼ぶには、どのように人から人へ口コミで広がっていくかを意識する必要があります。知人から聞いたものは、どこかで見たものより信頼性があるゆえに、口コミによる広がりを意識することは極めて重要です。

筆者は、海外在住の友人から「PPAPって知ってる?」と動画を薦められ、ピコ太郎さんの存在を知りました。暗号的な頭文字が興味を惹きつけることに加えて、「PPAP」というアルファベット4文字のタイピングのしやすさも、メッセージチャット上の口コミに貢献しています。

④ 老若男女にアピール

80年代シンセポップ風の曲調は、若い人には新鮮に、年配者には懐かしく感じられ、世界中で世代を超えて受け入れられています。ポップミュージックのトレンドとして80年代サウンドのリバイバルがブームになっていますが、その流れをうまく掴んでいます。

⑤ 全編英語/英語字幕

日本語動画と英語動画を比べてみると、リーチ数も、拡散スピードも、後者の方が圧倒的に上です。全編英語+英語字幕で海外を意識して動画を作成しています。さらに、非常に簡単な英語を使っているので、英語圏ではない人々でも楽しめるコンテンツになっています。

⑥ アイキャチ―な見た目

SNSを利用する際、多くの人は、電車の移動時間、休憩時間等に流しながら見ています。こうした視聴シーンを考慮すると、一瞬で注意を引き付けられる画像や動画のインパクトが重要です。その点からいうと、ピコ太郎さんの金一色の衣装にパンチパーマは、非常に印象が強くアイキャッチーであると言えるでしょう。

⑦ YouTubeからの拡散

  Youtubeからサイトへ訪問したユーザーが、他のプラットフォームと比較して、最も長い時間多くのページを閲覧し、直帰率も低いというデータがあります。

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(画像参照元: YouTube, Google+ and LinkedIn Drive The Most Engaged Social Referrals)

上図グラフは、2013年9月から2014年2月までの期間における、各種SNSメディアを遷移元としたときの重要指標(緑がサイト滞在時間、青が訪問あたりページ閲覧数、赤が直帰率)の平均値を表しています。

グラフから、Youtubeは滞在時間と訪問あたりページ閲覧数が最も高く、直帰率が最も低いことがわかります。ピコ太郎さんが最初に投稿したSNSメディアが、エンゲージメントを高める上で最も有効なYoutubeだという事も奏功しました。

BtoC動画マーケティングのロールモデル

ピコ太郎さんがエンゲージメントを向上させた方策は、SNSを利用したBtoCでのコンバージョン率向上を狙う企業にとっても、参考になる点が多々見られます。

動画の訴求力は非常に高く、これからもエンゲージメント促進施策として伸び続けていくでしょう。

参考文献

YouTube, Google+ and LinkedIn Drive The Most Engaged Social Referrals(shareaholic)

Pen-Pineapple-Apple-Pen: wildly popular viral video will take over the world whether you like it or not(Telegraph)

State of B2B Video Marketing 2015(REGALIX)

PPAPはサウンド的にもスゴかった DJ諸氏をうならせた「秘密」(Jcastニュース)

最新マーケティングの教科書2017 日経BP