「はい」と言わない部下を育てろ ―映画「イエスマン」から人材育成を学ぶ

組織マネジメント

新年度が始まり、二ヶ月近く経ちました。今年から新人育成を任せられた方や、年度始めで人事評価をされた方も、多くおられると思います。

「使えないヤツ」「指示待ち人間」「駄目な部下」で困っている方いませんか?

「今まで、何を学んできたんだろう?」
「自分で考えられないのか?」
「独断で勝手に進めるなよ!」
「ミスは隠さず、すぐに報告しろよ!」
「どう教育したら成長するのかわからない…。」
「そもそも、この仕事向いてないんじゃないか?」

そんな言葉が頭をよぎります。もしくは、実際に口に出さずにはいられない方もいるかもしれません。

そんな、あなたは映画「イエスマン」を鑑賞しましょう。

《あらすじ》
主人公カールは、何に対しても「ノー」の人生を送っていました。会社の取引先、家族、友人関係にも「ノー」を貫き、結果として、仕事はうまく行かず、離婚して、友人とは疎遠になってしまいます。そんなカールを心配した友人があるセミナーに誘い、そこで、カールは何に対しても「イエス」と答える誓いを立て、それを破れないような状況になってしまいます。結果として、様々なことが起こり、カールの人生は好転していきます。


映画「イエスマン」は、頑固に自分の殻にこもり、人の意見や提案を否定してきた男が、人生を肯定的にとらえ直した結果、仕事面でも、変わっていく話です。

この物語を見れば、人が変わっていくためには、何が必要なのかが分かります。

自分を変えるために役立った施策とは、他人を変える時に役立つ施策でもあります。「つかえない・駄目な部下」を持ったと思った時にこそ、この映画から学ぶ点は数多く存在するのです。

評価する時はバイアスを外せ

17_(1).pngどんな誘いや頼みにも「イエス」と返さなければならなくなった主人公カールは、自分が今まで出来ないと考えていたような事、しないと思っていた事にチャレンジするようになります。

韓国語、ギター、小型セスナの操縦といった、まったく興味のなかったような習い事や資格を勉強し、習得していきます。しかも、それらの経験が後に役に立っていきます。

以前のカールは、新しいチャレンジができないと思っていました。
しかし、どんな頼み事に対しても「イエス」と言うことで、「自分はできない」というバイアスを取りさる事に成功し、新しい人生に出会っていきます。

部下に対する苛立ちの言葉が口をついてしまったことのあるあなたは、部下に接する際に、「この部下は仕事ができない」という偏見やレッテルがなかったと言い切れるでしょうか?レッテルを拭い去り、彼・彼女の様々な可能性を伸ばそうと一度でも試みたでしょうか?

これは、部下に甘く接することとは異なります。上司として、部下には様々な可能性と選択肢があり、経験したを積ませた上で評価することが大切なのです。

それは業務外の趣味や遊びにも当てはまり、思わぬ形で案件の役に立ってくる可能性は多いにあります。

若い時ほど吸収は早いもの。上司として、若手に多様な経験を積ませることは、一つの重要な責務です。

コンフォートゾーンを広げよ!

17_(3).jpgカールの「何にでもイエス」癖は、仕事にも影響を与えます。怠惰な社員だったカールは、図らずも新しい融資形態を始めることになりました。小口の融資依頼にイエスと言いまくり、小口取引を大幅に増やしたのです。

それまでの銀行の慣例に反していたのですが、カールが融資した取引相手の人々は、貸し渋りのなく、スピード感のある融資に皆感謝して、返済率は98%以上にものぼり、利益も増えました。

これは、一見すると、映画によくある予定調和な展開ではありますが、そもそも、新しい融資方法にチャレンジしなかったら、この結果は得られませんでした。

上層部にはない発想は、今まで組織に受け入れられていなかったカールだからこその発想かもしれません。役に立たない、使えないと評価される社員が自主的に動き始めたら、まずは反対するのではなく、見守ることが大切です。

もちろん、上司としてただチャレンジを促すだけではマネージメントとは言えません。
話は少し飛びますが、心理学では、カールが閉じこもっていた、「自分の世界の殻」の事をコンフォートゾーンと呼びます。

コンフォートゾーンとは、自分が生き生きと活動できて、最高なパフォーマンスを発揮できる場所のことを言います。それに対して、そこから一歩外の世界をパニックゾーンと呼びます。こちらは自分が慣れない、心地が良くない世界のことですが、人はここで成長します。

このパニックゾーンを少しずつコンフォートゾーンに変えていく事が人の成長につながります。また、人によっては、コンフォートゾーンが人より狭く、飛び地になっている場合もあります。

「使えない駄目社員」と評価される部下の、独自のコンフォートゾーンを探してあげることも、上司の仕事です。例えば、部下の環境を変え、配属を変えてみるのも一手かもしれません。

上司にノーと言える部下を育てろ

17_(1).jpg主人公カールは、最終的に、セミナーでの誓いに対してノーを突きつけ、ハッピーエンディングを迎えます。イエスと言わないと不幸が起こると思っていたのは、カールの思い込みにすぎませんでした。

劇中、何も考えず闇雲にイエスと言い続けた結果、FBIに捕まるまでに至りますが、結果として「人生を肯定的にとらえつつも、自分の意に反する時は”ノー”と責任もって発言すべきだ」という結論に行き着きます。

同じように、職場で上司の判断が間違っている時に、「ノー」と言える雰囲気を醸成する事は大切です。

職場でイエスマンだけを作る恐慌政治を執ることはナンセンスで虚しいだけです。部下のやる気、能力、創造力を抑えつけることになるでしょう。

部下の失態や態度が、自分の考えに合わず、一方的に感情的になり、思いのままに叱責しても、一時的にあなたの気分が良くなるだけで、実際には、彼らを萎縮させているだけです。

部下の成長や会社の利益の種を捨てるような機会損失は、もう終わりにしましょう。

笑いながら学べる名作映画

この映画はジムキャリーが主演している、ど真ん中のコメディ映画でもあります。楽しみながらも、様々な学びを感じ取れる作品だと思います。

ひとまず、笑うことで職場での人材育成のストレスから離れ、5月病対策にもなる「イエスマン」鑑賞をオススメします。