幸福を育む働き方 -オランダにワークライフバランスを学ぶ

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オランダと日本には共通点が数多くあります。

両国とも立憲君主制の海洋国家であり、低いエネルギー自給率の中で製造業を発展させ、成長してきましたが、1990年代に不景気になり、サブプライムローン問題を経験しました。

日本とオランダは、ほぼ同時期に景気が停滞し、経済・働き方対策を行いました。

しかし、その結果として明確な違いが生まれることになります。

日本が国際的に、「働き過ぎである」という評価を受けている一方で、オランダはワークライフバランス先進国として世界の注目を集めています。

オランダは先ごろ発表された2017年度「世界幸せな国ランキング」にて、6位に位置しています。ちなみに日本は53位という評価です。

オランダは人口も面積も日本の九州と同じ位ですが、労働生産性で比較すると、日本の40.1ドル/時に対し、オランダは60.2ドル/時と、オランダの方が1.5倍も生産性が高いという結果が算出されています。

生産性も幸福度も日本より高いオランダは、「働き方」に関する諸問題に、どう対処していったのでしょうか?

オランダが実施した、「生産性と幸福を両立する豊かな仕組み作り」に迫ります。

ダブルインカムで世帯収入減少を阻止

13_(4).jpg不景気を受けて、個人所得が減少していたオランダは、1990年代後半から、夫婦共働きを奨励し、世帯収入を2倍にする改革を始めました。

個人の所得が減るならば、世帯での働き手を増やすという、ダブルインカムを奨励したのです。

アメリカも90年代に夫婦共働きの社会となっていましたが、働くことが優先されてしまった結果、家庭崩壊が問題になっていました。

それを受けて、オランダ政府は、単純に世帯収入を2倍にする事を目的とせず、働きやすさと、家庭の両立を目指した社会づくりを目指しました。

結果、共働き世帯が働きやすい環境が整い、世帯年収は増加しました。

では、共働き世帯が働きやすい環境作りのために、オランダ政府が主導した施策とは何だったのでしょうか。

ワークシェアリングで女性の社会進出を促進

13_(1).jpg改革以前のオランダは、日本と同じように、男性が働き、女性が家庭を守るという役割分担が一般的な社会通念であった為、女性が社会進出する事で、家庭が崩壊しないようなワークバランスが必要でした。

女性の社会進出が世帯収入アップの根幹であった為、オランダ政府は、女性が働きやすい環境作りの為に、賃金と福利厚生の面で、パートタイムとフルタイム社員の区別を無くしました。

これによって時間に都合が付きやすくなり、女性の就業率は大幅に増加しました。

また、パートタイムの就業人口が増加した事で、効率良く仕事を分担していく必要があった為、雇用を分け合い、仕事内容を分割して労働時間を短くする、「ワークシェアリング」を採用しました。

これらの施策により、失業率も大幅に下がり、人手不足問題の解消にも繋がりました。

「時間貯蓄制度」で家族との時間を確保

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オランダ人は、家族との時間を大切にします。

オランダは、「最も子供が幸せな国」としても知られており、子育てをする共働き世帯は、平日の休みをズラして、夫婦のどちらかが常に子供との時間を持てるように工夫するのが一般的です。

また、法律で残業が禁止されているので、18時には帰宅して家族で食事をしたり、副業が認められているので、サイドビジネスをする人も多いそうです。

さらに、近年では、時間貯蓄制度が取り入れられました。

残業や休日出勤など所定外の労働時間を、銀行預金のように勤務先の口座に積み立て、後日、従業員が有給休暇などに振り替えて利用できるしくみです。

オランダでは、これらの施策に加えて、フレックスタイムや在宅勤務も奨励されており、よりフレキシブルな勤務制度が整っています。

家族と過ごすことで得られる社会人としての成長は、「業績アップ!今すぐ経営者が「家族の時間」を奨励すべき5つの理由」でも述べた通りであり、オランダの生産性や幸福度向上にも一役買っていると考えられるでしょう。

オランダに学ぶべき、様々な施策

オランダの現在のような働き方が確立されるのには、1990年代から始まり30年もの長い年月が掛かりました。

一長一短で、すぐに真似ができるとは思いませんが、オランダは、同じような社会的な課題を持ちながらも、働き方改革を通じて日本よりも生産性が高くなりました。

日本も直面している、人口減少、労働力低下、少子化といった諸問題。オランダが構築した「生産性と幸福を両立する豊かな仕組み」は、我々にとって大変参考になります。

参考文献

World happiness report 2017 PDF

世界・労働生産性ランキング(世界ランキング 国際統計格付けセンター)

オランダはいかにワーク・ライフ・バランスの最先端国になったのか(WORK SIGHT)

ワークライフ・バランス先進国「オランダ」の幸せな働き方(Work Switch)

働き方先進国オランダ 子育てと仕事の理想バランス(日経DUAL)

残業のないオランダでは、ワークシェアリングがさかん!(欧州と日本の労働環境の違い。行政の対応や法律の違い)

労働時間貯蓄制度(日本の人事部)

業績アップ!今すぐ経営者が「家族の時間」を奨励すべき5つの理由(engage+)